日本と軍縮・不拡散 [国際法・国際関係]
28日から今日30日まで軍縮不拡散講座というセミナーに行ってきました。
0930時から1800時で、各日5個の講座がある、というハードなセミナーでした。高校の時にはできたことが今はできない。体力の衰えを感じました。
講師の多くの人が軍縮や不拡散に関連して実務経験を持っている方であり、軍縮・不拡散の現場で何が起こっているのか、ということが色々知ることができて面白かったです。
軍縮・不拡散は世界の大問題です。日本にとっても北朝鮮問題、中国の軍備拡張、アメリカの核の傘やミサイル防衛等など重大な関心事項にあふれています。軍縮・不拡散で何が起こっているのか、これは是非とも知っておくべきです。
『「できる人」の聞き方&質問テクニック なぜか、「人に好かれる人」の技術と習慣』 [書籍:『』「」付記]
「できる人」の聞き方&質問テクニック --なぜか、「人に好かれる人」の技術と習慣
- 作者: 箱田 忠昭
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2006/03/18
- メディア: 単行本
なんか就活するようになると、こういうのが気になります。
というわけで買ってみました。
憲法9条改正と近隣諸国 [国際法・国際関係]
当方まだまだ未熟ゆえにまだまだ意見を述べるのには慎重を期したいのですが、今回は思うところあってちょっと書いてみようかと・・・
あまり纏まってませんし、言葉足らずの部分も多いと思いますが、やさしく見てやってください。
就活懲りずに続きます [就職活動日記]
使い方は間違ってる気がしますが、人間分からないものです。
ここに書いている某社の採用面接の三次面談が受かったみたいでして、ついに最終面談に入ります。
すげー。日記で僕のてきとうな就活状況を読んでいる友人に、ホントに三次受かったの?と聞かれましたが、僕自身が驚いています。
ネタ→就活はうまくいく、というパターンだったので今回はだけかな、と思っていたのですが・・・
こんなに何も対策せずにうまくいくのは初めてだ。
こうなると逆に困るのが受かったらどうするか、ということです(←早い)
今回は断ったりせずにちゃんと内定はもらっておくか・・・
うーん、だけどそれだと色々面倒そうだよなー(←ほんとに気が早い)
ま、出たとこ勝負ということで(←やっぱり最後まで適当)。
台湾奇奇怪怪 [ネタ]
忘れてましたが、台湾旅行のとき見つけた奇怪画像をUPします。
3月終わる前にUPすることを思い出してよかった。
なんか胡散臭いキャラに出迎えられました。しかも日本語喋ってるし。
ところで、一見空港の出口にありそうなものですが、何故か空港の入口(今から台湾を出て行く)のところにありました。なんだったのやら…
「保費最低?」…旅行の保険がとても安い、という意味だと思うのですが「最低」って書いてあると日本人としては申し込みたくなくなりそうですが…
「請勿喧嘩」 これは既に紹介したやつですが、故宮博物館にあった奴です。静かにしろ(英語)=喧嘩するな(中国語)という2つの言葉の意味の差が気になります。
日本でもおなじみ「駐車しないで」という張り紙だと思いますが、下の言葉が何か気になりました。
「違反したら吊るす」?何されるんでしょうか?
友達をマッサージ屋に行ったときに見つけたやつ。爆笑しました。
台湾が日本人のために日本語を良く書いといてくれているのは旅行中に理解しました。その中には無理に日本語をつけようとして失敗する人がいるみたいです。
・サシスセソの「シ」とタチツテトの「ツ」が間違っている、
・平仮名とカタカタがごちゃごちゃしている、
・マッサージなどの伸ばし棒(ー)が「し」と間違われているらしい、
とか色々おかしな言葉が。
そういえば全身アロマテラピマッサージ(?と思う)って、 whole baby oil massage、になるんですね。ホントかな?
見えるでしょうか。画像が乱れてますが「古畑任三郎」です。
2006年新春ドラマとして日本で放送されたやつが、台湾で既に販売されてました。
日本ですら販売されていないのに…
絶対なんかの法に違反してる気がする。
違反しているとしても、日本のほうなので適用されないのでしょうな。
他にも有名なドラマの全部収録したDVDセットが沢山売られてました。日本円で数千円程度出せばなんでも変えます。安いのは1000円未満で買えます。
こんな店が裏道ではなく商店街の一角を普通に担ってました
中国とか台湾の「知的財産権」意識の希薄さがよく分かる出来事でした。
以上。また行きたいですね。
『東大生が書いたやさしい経済の教科書』 [書籍:『』「」付記]
「やさしい」って書いてあったのにつられて一年前くらいに買った本です。あの頃はまだ経済について「頑張ろう!」なんて考えて、大学院生生活にやる気があったのですが、今は見る影も無く・・・。
今頃になってやっぱり経済は重要、と再認識するようになりまして、本棚に飾られていたのを再び基礎中の基礎から、という気持ちで読みました。
東大の経済学部人が書いたそうで、院生にもなって学部生の書いた本を読むのはなんだか悲しい気分になりますが、「餅は餅屋」ということで教えていただくことにしました。
大変分かりやすい良い本です。内容として沢山書いてあるわけではないですが、基本的な概念について教えてくれていて昔受けた授業であっという間に解説されたところで、大事なところが解説されていたので読んでためになりました。
GDP、マネー、インフレ・デフレ、IS-LM分析、等基礎的ですが理解していないと経済学を理解できないものばかり。
個人的に特にいいと思ったのがIS-LM分析の解説です。本書には経済学ができないダメ学生、エン吉、が出てくるのですが、彼がわからないところをちゃんと聞いてくれるので、今までなんとなくで理解してきたものが理解できたような気がします(そのほかにも、
流動性の罠、クラウディング・アウトなど、今一よく分からんかった概念がありましたがやっと十分に理解できました)。
ただし、この本を読んだからといって経済が完璧に理解できる、という代物ではありません。あくまで基礎中の基礎、です。しかし、これを読んでさらに一般に出ている経済学の教科書を読めば、より経済学が理解できるのではないか、そんな気にさせてくる本です。
あと、後ろにエン吉と一緒に実際の事例問題を解いていく部分がありますが、これもいいです。
経済学に挫折した人、超初心者などにお勧めできる本だと思います。それ以外の人には物足りないかもしれません。
外国人労働者拡充問題。そして文章の書き方? [国際法・国際関係]
+α「文書の書き方講座(っぽいもの)」
昔、どっかの討論大会に出たということを言いましたが、パソコンのデータを整理していたらそれが出てきました。大会終わったしいいや、ということでそのとき書いた文章を公開します。
テーマは「外国人労働者の受け入れを拡充するべきか」
その肯定・否定、両方の主張をそれぞれ千字程度で論じなさいを言われて出したのが、↓の二つの文章。
よくみるとそれぞれの主張を言われているのに、同じ内容しか書いていません。労力最小限作戦ですね。肯定派と否定派がどのようにして違えられているか分かるでしょうか?文章の後に、どのように文章を書いたかを入れました。
日本は外国人労働者受け入れを拡充すべきである。
「外国人労働者」は、主に高度技術を有した外国人労働者、単純労働者、不法就労者に分類される。現在日本は、高度人材については、積極的に受け入れる方針である。よって、単純労働者の受け入れが「拡充」の主な問題となる。外国人の受け入れを単純労働においても拡充すべきであるというのが、我々の意見である。不法就労者は取締りの対象であって拡充の対象ではない。
理由は主に四点ある。
第一に、日本は現在、中長期的な人口減少期を迎えつつあり、日本の経済活動を維持発展させるために必要となる労働力を確保しなければならない。日本経団連は、経済をより一層活性化させるに、外国人の持つダイナミズムを活用するために受け入れを拡充すべきであると指摘する。
第二に、アジア諸国との激しい競争に打ち勝つために、日本の労働力も市場の変動に対応にできる必要がある。現在、製造業を中心として、就業しようとする日本の若者は減少傾向にある。必要な所に、必要な人材が迅速に動くことも国際競争に勝つ条件である。現在、国籍を問わず優秀な人材を確保し、戦略的に活用する重要性は高まっている。
第三に、今後アジアとのより緊密な経済関係が期待される現状において、ヒト・サービスの交流に向けた取組みが重要になってくる。アジアでの経済活動の共通基盤形成に向けて、外国の日本に対する理解、日本人の外国に対する理解を促進するためにも、積極的な外国人受け入れが望まれる。日本は受け入れ態勢を規制緩和とEPAなどを活用しながら促進させる必要がある。
第四に、日本と他のアジア諸国との現実の経済格差の中で、ヒトの移動を通じたサービスの輸出による外貨獲得はアジア諸国の重要な手段である。FTA/EPA交渉における相手国の重要な関心事項として、アジア諸国を中心に日本の労働市場におけるアクセス拡大の期待が大きい。
以上のように外国人労働者を受け入れる要請がある一方、受け入れ拡充については懸念も存在する。犯罪の増加、将来的な雇用機会の縮小、外国人労働者を雇用階層の底辺部に固定化するといった社会構造の二層化などがそれである。
しかし、こうした懸念は、外国人労働者受け入れの必要性と調整しながら、受け入れ制度を設計する段階で考えるべき問題である。貧困の温床となっている請負制度の見直しを図るなどの労働環境及び生活環境の整備、社会保障制度・外国人雇用状況及び移住環境の改善を行う必要がある。また、日本語学習の機会を提供し、コミュニケーションの能力の向上を図ることも重要である。そして、こうした外国人受け入れ態勢を構築しつつ、外国人受け入れを拡充するべきであると考える。
◆主なデータ入手先…外務省『外交青書(2005)』;外務省シンポジウム「『国境を越えた人の移動』 - 経済連携協定と外国人労働者の受け入れ - 」(2003年7月27日)報告書;経済産業省『通商白書(2005)』;経済産業省「外国人労働者問題-課題の分析と望ましい受け入れ制度のあり方について-」(2005年10月);厚生労働省『外国人雇用問題研究会報告書』
で、下が否定派の議論。構成殆ど同じですね。
外国人労働者の受け入れは拡充するべきではない。
但し、我々の意見は外国人労働者受け入れを永遠に拡充するべきではないというのではなく、現段階では、時期尚早であり拡充すべきではない、というものである。
「外国人労働者」は、主に高度技術を有した外国人労働者、単純労働者、不法就労者に分類される。現在日本は、高度人材を積極的に受け入れる方針である。よって、単純労働者についての問題が「拡充」の主な問題となるが、単純労働者の受け入れ拡充は行われるべきではない。不法就労者は拡充するべきではないのが当然である。
理由は主に四点ある。
第一に、外国人による犯罪の増加である。近年、留学生・就学生の受け入れ増加に伴い、不法就労・刑法犯罪の増加が指摘される。ただ、こうした犯罪の大半が日本での生活を維持できないことが直接の原因となっていることに留意される必要がある。
第二に、外国人労働者には所謂3K(汚い、きつい、危険)と言われる労働に従事するものが多く、低賃金・長時間労働の常態化など劣悪な雇用環境を温存する一因となっている。雇用環境の調査や報告を促す制度の構築が現段階では不十分である。
第三に、将来的な雇用環境が縮小される懸念がある。製造業中心に、低賃金・長時間労働をいとわない外国人労働者が多数浸透することにより、こうした分野における日本人の雇用機会が失われることが懸念される。
第四に、社会構造の二層化がある。外国人労働者には低賃金労働への就業が多く、日本人との生活レベルに開きが見られる。加えて、彼らは日本語能力が低く、故に地域のコミュニティとの融合が図れない。また、社会保障費の未払いも多く見られ、将来的には犯罪の取り締まりと合わせて、年金など社会コストの増加につながる可能性が高い。
とはいえ、本格的な人口減少時代を迎えつつある日本にとって、外国人の存在は重要である。しかし、受け入れ態勢を整備する前に、安易に受け入れを拡充するべきではない。低所得外国人労働者の社会が形成された場合、2005年にフランスで発生した移民の暴動のようなことが、起こらないとはいえない。労働環境の整備、日本語の習熟のためのサポートなども、地方の特区などで始まったばかりで、まだまだ国レベルでの制度は十分に整っていない。また、国民の外国人に対する理解も、近年深まってきているとはいえ、未だ不十分である。
以上のように、わが国は外国人受け入れのための制度整備、及び国民の外国人への理解の促進を図るべきであり、安易な外国人労働者の受け入れ拡充を行うべきではない。
◆主なデータ入手先…外務省『外交青書(2005)』;外務省シンポジウム「『国境を越えた人の移動』 - 経済連携協定と外国人労働者の受け入れ - 」(2003年7月27日)報告書;経済産業省『通商白書(2005)』;経済産業省「外国人労働者問題-課題の分析と望ましい受け入れ制度のあり方について-」(2005年10月);厚生労働省『外国人雇用問題研究会報告書』
気をつけたのが文章の書き方。
問題はかなり大きいものなのに1000字しか書けません。すると、わかりやすく、かつ、内容をこめて、書かなくてはいけません。
これがなかなか矛盾することが多くて大変です。例えば、文中に「社会構造の二層化」ということばあります。
「外国人労働者の拡充は社会構造の二層化を招くことが懸念されるので妥当ではない」
ということを書くとします。文章は短いですがこれは意味が分かりません。そこで、その意味を解説しなくてはなりません。特にこれが他説ではなくて自分の意見を支えるときには重要です。すると文章は必然的に長くなります。
ちょっと抽象的ですが、ふと自分を客観化して「初めて読んだ人に伝わるか」これを常に考えながら文章を書いてください。
論点を必要不可欠な分だけ盛り込んで、一つ一つの文章を分かりやすく。資料を沢山調べたかはともかく、これには注意しました。
あと、構成がちゃんと見えることも大事でしょうね。
見ていただければ分かっていただけると思いますが。段落ごとに意味を与えながら書いています。そしてそれぞれで何が言いたいのかということを明示しているつもりです。
今回の構成は比較的良く使われる文章パターンで、
結論
結論の補足的説明
理由(今回は四点)
反論
それに対する回答
、ということで書きました。文章が苦手な人は段落ごとの意味づけを意識すること、および、文章の展開のパターンをいくつか始めに作って(もしくはどこかからか学んで)、その形に文章を当てはめることをお勧めします。
まずは形から。昔読んだ『ホンモノの文章力』というほんで、形を先に学んでそれを使っているうちにそれを自分のものとすることができる、という旨のことが書いてあったように思いますが、一理も二理もあるとおもいます。
まずは何も考えずに、
結論
理由(表現に自信の無いうちには理由と分かる表現をはじめに入れておく)
反論(「確かに」が一番便利かな)
それに対する反論(「確かに」と使うと「しかし」がこれに対応する。人間というのは不思議なもので、「確かに・・・しかし・・・」という表現を使うだけで「確かに・・・」の主張がダメなように見えます)
結論の確認(「以上より」、とか)
で文章を書くというのが文章をうまく書くコツだと思います。
これで、中身が無くてもとりあえず言いたいことを相手にわかってもらえます。よくいませんか?沢山勉強しているはずなのに、何を言っているのか分からない人。
僕はそれよりは、中身は無いけど言いたいことが分かる人のほうが良い様に思います。まだ議論で説き伏せられますから。
無論、分かりやすくて、中身のあるものが理想ですが。
ネタサイトとか [ネタ]
ネタサイトは探せども探せども尽きないですね。今回の(別にシリーズものではないですが・・・)フラッシュはこれ↓
http://peppa-aji.sakura.ne.jp/flash/ninki/ninki-1-2.html
http://peppa-aji.sakura.ne.jp/flash/yumei-kyara/kyara-1-4.html
本ネタはダウンタウンの「ごっつええかんじ」みたいです。特に上のほうは僕個人としては何回見ても笑いがこらえきれません。
http://peppa-aji.sakura.ne.jp/flash/ippan/ippan-1-18.html
あと、これなんかも好きですね。同じフラッシュ紹介ページにあったものです。
ところで、Q.E.D.23巻買いました。今回は「ライアー」と「アナザーワールド」の二つ。
推理漫画なんで中身は言いませんが、どちらも面白かったです。「ライアー」の事件のほうは犯罪成立するのかなー、なんて疑問を持ちましたがどうなんでしょう。法律の詳しい人読まして聞いてみたいところです。
最近勉強が手につきません。家にいたらネットばかりやっているので、ミスタードーナツに行って勉強しています。
僕とミスタードーナツはかかわりが深いです。よく通うようになったのは2004年の夏ごろからとそれほどたってませんが、京都で院試の勉強をするときのbaseとしました。ここがなかったら院試の勉強をちゃんとできていたか分からない、というくらい重要な場所でした。あと、卒業かかった後期の試験でも良く用いました。ありがとう。
東京来てからは場所が不便だったので使わなかったのですが、このままでいけないとやっと自覚して、自転車も買ったので最近通うになりました。
なんといってもコーヒーお変わり自由なのが良い!おかげで何時間も居座れます(店の人ごめんなさい)。これでも頑張れなかったらあかんかもしれんね。
そういえばこのblog、英語圏のみならずドイツ人,中国人、にも検索されてるみたいで。グローバル化の時代です。
『人のココロが読める心理分析の本 ― 例えば「不幸自慢」をする人の内面にあるものとは?!』 [書籍:『』「」付記]
人のココロが読める心理分析の ― 例えば「不幸自慢」をする人の内面にあるものとは?!
- 作者:
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/03/16
- メディア: 文庫
就活に行くときに途中のコンビニでこんな本を買いました。就活で役に立ったらいいなと思ったのですが、それには役立ちませんでした。テキパキ読める本です。
普段何気なくとっている行動、そして発言に潜む深層心理を明らかにする、という本です。読みやすく、かつ「例えばこんな場合」ということでいろんな例が書かれています。
日常によくある行動にこんな意味があるのか、と言うことが指摘されており、言われると「ああ、成る程」と思えるものばかり。
例えば、会議やゼミであの人がどのように座るか、を観察するとその人と自分の距離がつかめる、など身につまされることが多かったです。
特に相手が何を考えているのか、ということを読むためというより、自分が考えていることがこんなところから伝わってしまうのか、という視点から、僕個人的には興味深かったです。
人との良好な関係維持したい人、好きな人の思いを伝えたい人または理解したい人、などなど、自分が意図しないところで相手の気分を害さないようにするための簡単な読み物としてお勧めです。
第八章 通常兵器の規制と禁止 [軍縮・不拡散問題入門]
あと二つありますが、宇宙とかなんで、これで『軍縮問題入門』の紹介は終了しようかと思います。気が向いたら宇宙とか南極における軍縮もやりたいです。
第八章 通常兵器の規制と禁止
第一節 欧州通常戦力CFE条約
1990に成立したCFE条約はNATOとワルシャワ条約機構という二つの軍事同盟の中、通常戦力をより低いレベルにで均衡させるために成立した画期的な条約である。
冷戦中、欧州で東西両陣営が課題としたのは、いかにして意図しない戦争を勃発させないかということであった。このなかで通常戦力の軍備管理が核軍縮と並んで重要視された。
1970sに入り、内政不干渉と国境線の現状承認を前提とした欧州安全保障強力会議CSCEの開催と、相互均衡兵力削減MBFR交渉と呼ばれる兵力削減交渉の開始が東西間で合意される。
CFE条約は欧州全ての国家が参加するCSCEにおいて、1990年に成立し、NATOとワルシャワ条約機構の全ての当事国が参加する枠組みが実現したのである。
CFE条約概要。適用範囲は大西洋からウラル以西であり、ロシアについてはウラル以西の領域だけ適用される。
①締約国グループごとの兵器保有数の制限。同時に一国が保有できる数量の制限し、一国が突出しないようにする。
②保有兵器の配備制限。特に中欧に兵力が集中しないよう配慮
③削減方法の制限と方法。削減、廃棄に関わる負担軽減のために民生転換の例外あり。詳細な査察あり(現地査察、抜き打ち査察等)
CFE-1A合意。CFE参加国は1992年7月に兵員数規制のための政治的取り決めを行っている。
CFE条約適合合意。ソ連が崩壊し、NATOの東方拡大が現実になったことでCFE条約の前提が崩れた。また、ロシアはチェチェン紛争など民族問題を抱えており、枠組みの修正を要求した。
1999年11月、CFE条約適合合意が成立する。本合意は兵器の上限を軍事同盟ごとから個別国家ごとに改定。保有上限の総数が約9000個ほど下方修正された。外国軍駐留については当該国の合意が必要であることを明記している。
NATO新加盟国であるハンガリー・チェコ・ポーランドは平時に外国軍を入れないことが合意された。ロシアに対しては兵力配備制限を上方修正して、ロシアに対して配慮が行われている。
しかし、合意の内容に反してロシアがグルジア・モルドバなどに軍隊を駐留させていることから多くのNATO諸国は批准を行わず、未発行である。
CFE条約とCFE-1A合意の履行状況は概ね良好であり、各国の信頼醸成も進んでいるをみなして良い。こうした枠組みの中、各国は通常兵器配備について情報交換を行い、通常兵器に関する透明性を向上している。
今後はロシアによる駐留問題やNATOによるバルト三国支援問題なども解決しながら条約適合合意が批准されるのが望まれる。
第二節 国連軍備登録制度
国連軍備登録制度は湾岸危機および戦争の教訓から始まっている。イラクが90年までにソ連、フランス、中国等から集中的に購入していた武器が、クウェート侵攻に用いられたからである。
1991年、日本とEUが共同して「軍備の透明性」決議が国連総会に提出され、全会一致で成立している。この決議では不安定かつ急激な軍備の蓄積に対する懸念を中心課題としている。
概要。制度の目的は兵器の国際移転を国連に報告することにより、通常兵器移転の透明性を高め、かつ、急激なな軍備移転にたいして国際社会が早期警戒できるようにすることである。
国連が指定するカテゴリーは①戦車、②装甲戦闘車両、③大口径火口システム、④戦闘用航空機、⑤攻撃ヘリコプター、⑥軍用戦艦、⑦ミサイル・同発射装置である。これはCFE条約に準拠したものである。
1992年制度発足と同時に政府専門家会議が招集され登録に関する技術的手続きが検討されている。そしてこの勧告を受け、総会は兵器移転を国連事務局に登録することを決定した。
2000年政府専門家会議では、懸案であった、大量破壊兵器に関連する兵器の登録問題について勧告し、2003年には携帯型防空システムMANPADの「ミサイルおよび発射基」カテゴリーに追加するなどを検討している。
軍備登録制度は今日まで13年分の実績を有志、主要国を含め100国以上が報告している。
同制度の課題として、登録範囲の拡大、登録対象兵器のカテゴリーの追加、地域軍備登録制度、通常兵器の移転規制があるが、それぞれこれまでそれなりの進展が見られる。今後さらなる改善とともに、同制度が国際社会の平和と安定にどれほど貢献したか、ということをアピールし、同制度の異議を高めることも重要である。
第三節 対人地雷禁止条約
ICRCによれば1990s初頭、世界77国に1億3000万個の対人地雷がうめられ、年間24000人が被害にあっている。また対人地雷の種類も極めて多く存在している。
対人地雷を制限する条約には、特定通常兵器使用禁止制限条約CCWの第二付属議定書がある。83年に発効した同議定書は対人地雷が無差別に民間人に使われることを禁止している。しかし、同議定書は、
①対象が国際武力紛争のみで内戦が含まれていない、②プラスチック製地雷など捜索困難な地雷は対象に含まれていない、③地雷の譲渡や移転に関する規定がない、④条約の監視手段がない、などの不備が存在していた。
90年代に入り、NGOやUNICEFなどの国際組織が中心に対人地雷の全面禁止を訴え、現状を打破しようとする動きが世界に広がった。このため同議定書は改正交渉が行われ、一部改正が実現したが、NGOおよび一部政府からは新たな条約を作成する動きが見られた。
オタワプロセス。1992年欧米のNGOが中心となって「地雷禁止国際キャンペーンICBL」が立ち上げられた。これにカナダなど一部国家が積極的に協力した。1996年にカナダでオタワ会議が開催される。1997年12月3日オタワで条約の署名が行われる機関がオタワ・プロセスと呼ばれるようになった。
オタワ条約の要点としては、
①地雷の使用、貯蔵、製造、および移譲を如何なる場合にも全面的に禁止する、
②貯蔵されている対人地雷については、自国が条約に加盟してから4年以内に廃棄することが義務付けられた、
③条約履行のために可能な範囲内で国際協力および援助を行うことが決定される。
オタワ条約の締約国会議に合わせてICBLが発行している『ランドマイン・モニターレポート2004』によると、
①条約発効時、地雷使用国は15あったのに対し、4に減少したこと、
②50近かった地雷生産国は15になったこと、
③加盟後4年以内に廃棄がすることになっている貯蔵地雷は65国が廃棄作業を完了したこと、
④400万近い対人地雷、100万近い対車両地雷が除去され、1100万平方キロに及ぶ面積が安全な土地に戻った、
⑤かつては年間24000人ほどいた被害者も15000人から20000人ほどに減少した
⑥政府や国際機関による援助は13億5000万ドルに達した。
ことを報告している。
今後は未だ条約に入っていない米露中などの未加盟国をどのように参加させるのか、そして地雷を生産し続ける非国家主体NSAをどのように説得するのか、と言うことが課題になってくる。オタワ条約の普遍化を目指しての課題はまだまだ多い。
第四節 小型武器の規制
国連によれば90年代に発生した主要な紛争49のうち47の紛争で小型武器が最も主要な手段として用いられている。小型武器の規制はこれまで軍縮の対象となってこなかったが、その理由は、国家間戦争の主要兵器でなかったこと、小型武器は紛争の原因というより、むしろその所有は市民の自己防衛のための権利であるを考えられてきたためである。
しかし、90年代に頻発した地域紛争、宗教紛争において、小型武器が紛争を長期化させ、助長する事例が報告されるようになって国連を中心としてその対応が考えられるようになった。
小型武器問題はガリ前国連事務総長が『平和への課題:追補』と題する報告書で「ミクロ軍縮」を強調したことを契機として、国際社会での争点と発展した。この問題について日本の果たした役割は大きい。
1995年の小型武器決議を下、96年に日本の堂之脇元国連軍縮大使が議長を務める国連小型武器政府専門家パネルが発足した。
そして小型武器に関する国連決議開催を求める決議案は2000年の国連総会で採択され、会議自体は2001年7月に開催され、行動計画を採択した。
行動計画では、小型武器非合法取引に対するトレーシングのための措置、実効的な輸出入承認制度の確率・維持、小型武器問題の全ての面における透明性の向上を図ることなどが盛り込まれた。行動計画は2002年1月の国連総会で承認されている。
行動計画採択には、これまで国連や地域機構が実施してきた小型武器問題への取組みを総括したものであり、これらの取組みが国連会議における行動計画の作成に貢献した。
また対人地雷禁止条約で勢いを得た各国のNGOは規範構築、開発・復興問題などそれぞれの分野で小型武器問題にも取り組んでいる。
特に1998年に設立された小型武器ネットワークIANSAは、世界のNGOのまとめ役として、国連小型武器会議の開催に尽力したことで知られる。
2001年の小型武器決議後、国連は各地域で啓蒙活動と計画のないよう時限のための行動を実施している。
今日小型武器問題で大きく取り上げられる課題にトレーシングがある。この問題に取り組むため国連は、政府専門家会議と国連小型武器トレーシングOEWG(作業部会)の編成を命じている。
課題。小型武器問題の最大の課題は、この問題に関する国際社会のモメンタムの維持である。紛争が終結し、一応の安定が訪れると、国家が小型武器問題に取り組む動機は弱くなる。こうした取組みが成功すればするほど、国家のインセンティブは弱くなる。この分野の軍縮問題ではNGOは常に新たな争点を提起し続けなければならない。近年一部のNGOの新たな活動として子供兵士、武器貿易条約、小型武器と女性の問題、弾薬等規制の問題を争点として取り上げている。
このように、小型武器問題は2006年の再検討会議にむけて、行動計画の進展を図る動きと新たな問題うぃ提起する動きが存在している。これまでのところ小型武器問題では特別な条約や枠組みは設けられていないが、だからこそ今後の動きに注目しなければならない。
三次面接? [就職活動日記]
今回は何のネタが、と思っていってみましたが。何もありませんでした。よって書くことがあまりありません。
気になったのは、45分のはずの面接が30分で終了したことと、何故か「歴史認識問題」についての所感を10分くらい述べる羽目になったくらいか。
以上・・・、なのですが、ネットで遊んでいたらネタとしか思えない文章を見つけたので以下コピペ。
「日本の国連安全保障理事国入りについて
小泉首相が党総裁就任以前の党内反主流派時代、日本が国連の安保理事国になることに対して、あまり積極的ではなかった。というよりも、彼は内政面、とりわけ財政、福祉などの分野において主義主張があるものの、外交・防衛面においてはあまり確たる考えを持っていなかった。それが、今では安保理事国入りを目指すようになった。これはイスラム原理主義者たちのテロ活発化、北朝鮮情勢の変化などにより、日本を国連の中で確かな地位を欲しいと考えてのことであろうと思う。
日本が独逸とともに国連安保理事国入りを果たせば、両国は国際連合の敵国ではなくなる。それでも、日本が米国追従である限り、さほど意味を持たないであろう。むしろ米国の横暴ぶり、自意識過剰なこの国家はいずれ国際社会で孤立する。日本が米国とともに共倒れしたいのなら、それでもよいが、そうでないのなら理事国入りは避けたほうがよい。
小泉首相は、国連安保理事国入りするために今まで米国追従的なる外交手段をとるという仮面を被っており、理事国となってから米国追従の手を緩めようとそこまで考えているのならたいしたものである。
平和党は、日本が国連に加盟していること自体に疑義を唱えるが、次の条件が満たされれば国連に加盟することも考慮の余地はある。
?平和維持活動と称する武力派遣を廃止し、国内紛争はその国内において解決させ介入はしない。
?国連加盟国条件である陸海空軍の軍備義務を削除すること。
?国連加盟国は国際司法裁判所(ICC)に加盟を義務付けること。
?集団的自衛権を禁止すること。
これらのことが理事国になることによって、改革しやすいのならそれる一つの方法である。まず?の問題は非常に大きいであろう。集団的自衛権のために国際連合があるわけで、日本だけが集団的自衛権を禁止してきたが、これが「世界の常識・日本の非常識」であるといわれた。『日本の非常識を世界の常識』にすれば話は簡単なのである」
意味がよく分からないのですし、突っ込むところも多いですが、三点だけ。
「?平和維持活動と称する武力派遣を廃止し、国内紛争はその国内において解決させ介入はしない。」
→人間考え方はそれぞれですから・・・左の一番ダメな部類の人まだこんなこと言ってるのですか。
「?国連加盟国は国際司法裁判所(ICC)に加盟を義務付けること。」
→国際司法裁判所はInternational Court of Justice、即ち
ICJです。ICCはInternational Criminal Court、即ち国際刑事裁判所です。
→というか国連加盟国は同時に憲章と不可分一体であるICJ規程の当事国のはずなのですが・・・
「『日本の非常識を世界の常識』にすれば話は簡単なのである」
→簡単じゃないよ。コペルニクス的転回みたいにさも満足げにこういうことを言わないで。笑っちゃうから。
あとの突っ込みは他の方にお任せします。
今度こそ、以上。
また面談 [就職活動日記]
ネタだと思っていたもの、
それは実はほとんどが自分の過失によるものだったんだ
わかっていたよ
だけど、
それを認めたくなっただけなんだ。
・・・なんてよくわからんノリですが、こんなノリになるくらいこの会社に行くたびに何かミスをします。
今回はあまり長く述べません。手短に。
今回は0010時に行く予定。通常寝てる時間なので、合理的に徹夜を選択。
0700時頃、当然のように眠くなる。
0800時危ないところを目覚める
行く前にコンビニでお金を下ろす。全部二千円札でおろされた。微妙な気分
0940時何事も無く。新宿駅に。
が、
髭を剃り忘れる(5日分くらい)
待合室。就職に関係の無い「外交フォーラム」を読んでいのが見つかる。
「そういうの興味あるの?」
「ええ、まぁ・・・」
面談とは面接ではない。会社の説明だ。
が、一応採用の一環ということで関係ないと見ることは無いだろう。
今日気がついたが、
面談で僕が聞いているのは
「この会社何やってるんですか?」「SEとコンサルって何が違うのですか?」
くらいしか、これで3,4度目だがさすがに同じ質問を繰り返しすぎたか。
最近聞かれるようになったのは、
「前(の面談では)どのようなこと教えてもらった?」
無論全部忘れているので答えられるわけが無い。
毎回あいまいな答えで誤魔化している。
今日もそんな感じの面談だった。
さあ、明日が本番だ。相手の幹部が出てくると、聞いている。
第七章 大量破壊兵器の不拡散 [軍縮・不拡散問題入門]
軍縮問題入門
• 作者: 黒沢 満
• 出版社/メーカー: 東信堂
• 発売日: 2005/10
• メディア: 単行本
第七章 大量破壊兵器の不拡散
第一節 大量破壊兵器不拡散の意義
大量破壊兵器WMD:weapons of mass destructive とは、「原始爆発兵器、放射性物質兵器、致死的化学・生物兵器、および破壊効果において原子爆弾や上述その他の兵器に匹敵する性質を持つ将来開発される兵器を含む」と定義される(1947年の通常軍備委員会)。
国際社会がWMDの取組みに着手したのは、WWII後であり、その動きが加速するのは冷戦中盤である。まず核兵器について核不拡散条約NPT(1968)、が成立し、その後生物兵器禁止条約(1972年)化学兵器禁止条約(1993年)が成立した。
こうして法的枠組みが整備されて後、冷戦後、特に第三世代諸国への拡散問題が、国際社会の最優先課題の一つに位置づけられるようになった。しかし、拡散懸念国はこうした条約の枠組みに加入せず、拡散懸念国には規制のための法的枠組みは機能しない。
特に北朝鮮は弾道ミサイルの開発を進め、中東に輸出するなど、拡散源となっている。グローバル化の中WMDの拡散阻止が困難になりつつある。また、テロへの拡散もまた主要な問題となっている。
既存の法的枠組みだけではWMD拡散の問題を対処できない。これを補完するものとして、様々な枠組みが発展しつつある。
第二節 大量破壊兵器の輸出管理
WMD拡散を阻止するには
①経済制裁のような負のインセンティブや制裁を与えて拡散を防止する、
②経済援助を引き換えに兵器の取得を留まらせる、
③軍備管理体制構築により、兵器に対する需要を減らす、
④兵器を取得する際の障害を設ける、
等があるが、輸出管理は④のカテゴリーに入る。
輸出管理が効果を挙げているかどうかは、①兵器開発などに関する技術の難易度、②国家の技術力、工業力、③汎用技術の管理可能性、④輸出国間の協力の度合い、⑤管理体制参加国における監視、行使体制、などの要因に左右される。しかし、これを完全コントロールするのは難しい。
そこで輸出管理においては、
①輸出管理によ技術移転の速度を落として開発を遅らせ、この間に外交交渉その他手段との組み合わせることにより兵器拡散を遅らせる、
②輸出管理を特定の国、特定の計画にターゲットを絞り、その効果を高める、
③輸出管理についての対話や国際会議を通じて拡散防止に関する規範意識の醸成を図る
が望まれることと成ろう。
輸出管理体制。冷戦期には対共産圏輸出管理委員会(ココム)が設立され、西側から東側への技術流出を管理し、東側の兵器開発を抑制する役割を果たした。ココムは冷戦終了とともに1994年に解散した。
冷戦後の中心は不拡散型の輸出管理である。現在の輸出管理は、
核兵器関連の原子力供給国グループNSG、
生物・化学兵器関連のオーストラリア・グループAG、
ミサイル関連のミサイル技術管理レジームMTCR、
ココムの後継として設立されたワッセナー・アレンジメント(協約)
の四つのレジームから構成されている。
これらのレジームは参加国の意見調整や意見交換のための役割を果たしている。レジーム内で合意形成を経た後の輸出管理は各国の国内法に基づいて行われる。
各レジームはWMDに直接利用されるものだけではなく、WMDに転用可能性のある汎用品も管理対象とする。汎用品の管理は困難であり、リストの拡充に加え、対象品目を特定しないで、WMDの開発に使用される可能性を輸出者が知っている場合にはそれら全てを規制対象とするキャッチ・オール規制と呼ばれる管理方式の重要性が増している。
現状と課題。輸出管理体制の重要性が増したのは湾岸戦争で一般民生品がWMD開発に用いられていたことが明らかにされたことがきっかけである。その後9.11テロはWMDとテロの結びつきの恐怖を想起させた。
2004年にはパキスタンの科学者、カーン博士が中心となった核の闇市場の存在が発覚して、核拡散の懸念が高まった。
こうしたWMD拡散懸念から、2004年には安保理決議1540が採択され、テロ集団にWMDが渡ることへの厳しい対応が求められた。
第三節 ミサイル不拡散とミサイル防衛
ミサイル、特に弾道ミサイルの拡散は冷戦後急速に進んでいる。ミサイルそのものは兵器の運搬手段であるが、第三世界にとっては自己所有のWMDの最大効果を狙うために貴重な存在である。
ミサイルは自国の安全保障のみならず、大国の政治干渉を排除するための政治的自立性確保ために魅力的であり、このことが拡散の助長につながっている。
イラン・イラク戦争でミサイルが用いられたことを契機として、ミサイル不拡散の動きは本格化し、1987年、米国主導でミサイル技術管理レジームMTCRが作られた。このレジームは湾岸戦争を契機にミサイルのみならず、WMD全般を運搬可能なミサイルおよび関連汎用品・技術までその対象としている。
MTCRは法的枠組みではないが、レジームの枠内において一定の役割を果たしてきた。しかし、その枠外でミサイルの拡散が発生する。
90s広範に印パ、北朝鮮がミサイル実験を続けたことを受け、2002年弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範HCOCが93国の署名を経て採択された。徐々にであるが法的な規範意識が形成されつつある。
2003年、米国は拡散、特に各種レジームの非加盟国における拡散を懸念し、拡散防止構想PSIを打ち出した。PSIは一定の成果を挙げるが、拡散阻止には本来的限界があり、ミサイルの増加・拡散を阻止できないと考えた米国はミサイル防衛を重視する傾向を強めた。
ミサイル防衛。湾岸戦争後、米国は戦略防衛構想を縮小し、より現実的脅威いである戦域ミサイルを対象にしミサイル防衛計画に着手するようになる。
クリントン政権ではロシアなどに配慮し、先送りにされたが、2001年ブッシュ大統領はこれを激しく批判、戦域と本土を区別しないミサイル防衛MDの積極的推進を打ち出した。9.11テロ事件はMD計画に拍車をかけ、2002年にはABM条約も脱退、計画の強化に勤めている。
日本は米国からの強い要請を受けて1993年の政府間協力開始以降、協力を進めてきており、2004年には米国とのミサイル防衛を武器輸出三軒原則の適用除外と決定した。2006年からは日米共同技術研究から共同開発段階に移行する予定である。
第四節 拡散防止構想PSI
WMDに拡散阻止のためには既存国際法が変革される必要を感じた米国はPSIを打ち出した。
PSIの参加国はコア・グループ(15カ国、日本含む)による総会を開き、PSIの目的および原則を明らかにした、原則阻止宣言を発表している
PSIはテロリスト、拡散懸念国に対してWMDが拡散することを防止することを目的とする。
①拡散懸念国などとWMD関連貨物の輸送や輸送協力を行わない
②WMDを輸送している疑いのある自国船籍の船舶を臨検し、関連貨物を押収する。
③自国領域を通過する船舶がWMD関連物質を輸送していると疑いのある場合は、臨検および関連物質の押収を行う
④航空機についても、自国領域を通行している場合、着陸を求め、関連物質を押収する
⑤港湾・空港がWMD関連貨物の運搬の中継点として使用される場合、その船舶や航空を検査し、当該貨物を押収する。
PSI参加国は合同海上訓練を行うなど阻止能力の向上をはかり、参加国拡大などのためのアウトリーチ活動も精力的に行っている。
PSIの成果としては2003年11月にリビア船籍の船から遠心分離機部品などを押収し、リビアのWMD計画放棄を後押しし、核の闇市場を明らかにしたことがある。
ただ、現行国際法の枠内での行動であるPSIには臨検などにおいて現実上の困難が生じている。米国はパナマ・リベリアなどの便宜置籍国を乗船協定を結びPSI実施の可能性を拡大することを試みている。また、シージャック防止条約の改正を行い違法なWMD輸送を可能にする国際法枠組みの変換を行おうとしている
第五節 大領破壊兵器とテロリズム
テロリズムとWMDの結びつきの懸念は70sから存在していたが、その重要性が認知されるようになったのは90s後半になってからである。背景にはテロの目的が政治目的から無差別攻撃に変わったことなどが挙げられる。そして9.11テロ以降はこの脅威が明確に共有されるようになった。
また90sにはWMDが入手しやすい状況が生まれた。ロシアにおける核物質などWMDのずさんな管理(ルース・ニュークス)がその背景である。安全保障に対する意識の希薄、旧ソ連が生物兵器禁止条約に違反して大量のバイオ兵器を有していたのも問題であった。また医療・研究用実験ならば細菌バンクから、危険な菌類を入手することができるようになった。
可能性。WMD使用の可能性は平気ごとによって異なる。
核兵器の場合、資金・技術・施設および実験の必要性からして、その製造は不可能に近いが、ダーティボムと言われるような即席の核爆発装置を組み立てることならばあり得る。また原子力発電所を攻撃することも想定できる。
生物・化学兵器テロは核テロと比べて、その入手のハードルが低い。特にバイオテロの場合特殊な機材と能力があればマンションの一室で製造することが可能である。
核・生物・化学兵器の製造方法は秘密でもなんでもなくインターネットなどで精度の高いマニュアルが堂々と売られている状況である。
9.11テロ以降の対策は大きく三つに分かれる。
①未然防止措置
②被害管理…これは万一テロが発生した場合に迅速な対処をもって被害範囲を限定するものである。
③実行犯への法的対処・・・WMDテロを裁くための法律や文書の整備は重要である。またテロの場合国際司法共助を重要である
第六節 大量破壊兵器不拡散の展望
WMDの拡散可能性は近い未来に解決されないだろう。WMDが実際に利用される危険は高まるのかもしれない。
国際社会は拡散のペースを遅らせ、その間に拡散懸念国にWMDの保有を放棄させ、あるいはWMD取得の意思を持つ非国家主体を摘発することが必要となるであろう。
またテロはWMDの緩い途上国で活動を行うことが予想される。WMDの問題は一部の国の問題ではなく、国際社会全体の問題である。
第六章 生物兵器の禁止 [軍縮・不拡散問題入門]
順調に第六章へ。今日もblogに繁栄されない閲覧数が…。so-net blogの故障かな?
第六章 生物兵器の禁止
第一節 生物兵器禁止の意義
生物兵器が国家レベルで開発製造されるようになるのは、1930-40くらいで特に米ソで開発されたのは人為的な感染症を意図して作られている。
兵器としての生物兵器の基本構成要素は、「撒布に適した」形状に加工された病原体、目標まで送り届ける「運搬手段」である。
その他、効果的な防護手段、目標地域の気象分析能力、専門家、研究施設も重要であり、こうしたシステムの中で生物兵器が生み出されることに留意し、軍縮を行わなければならない。
WWII後、生物兵器開発を推進した主要国は米ソであるが、米国についてはニクソン大統領が攻撃用生物兵器の廃棄、防御目的に限定を決定した。ソ連は国家解体に至るまで大規模な生物兵器の開発を行っていたとされる。
1992年にエリツィン・ロシア大統領は国内においてBWCに違反するような活動を全て停止させた。英国・仏国も冷戦中に生物兵器開発を放棄している。
このように主要国においては生物兵器問題の重要性は失われつつあるが、近年は途上国、テロなどに対する拡散問題、国際的に憂慮されている。
1990年代半ばに国連イラク特別委員会はイラクの生物兵器開発を認めているし、南アフリカの白人政権も開発を行っていた。その他、中国、北朝鮮、イラン、シリア、リビアも疑惑国とされてきている。わが国においてはオウム真理教が炭素菌などを用いたバイオテロを企てていた。9.11テロ後の米国でも炭素菌事件が発生しており、バイオテロの脅威が現実のもであることを印象付けた。
第二節 生物兵器禁止条約BWC
生物兵器に対して初めて明文で規制を行ったのは1925年のジュネーブ議定書である。しかしこの条約は生物兵器の保有そのものまで禁止していない。
WWII後、生物兵器は化学兵器の禁止とともに軍縮委員会で議論されたが、西側諸国が分離アプローチを提唱し、米ソが支持したことから生物兵器禁止条約への流れが出来上がった。
第26回国連総会決議を経て、1975年生物兵器禁止条約が発効、現在加盟国は150カ国以上にのぼる。
内容。
BWCは1条(一)で「防疫の目的、身体保護の目的その他平和目的による正当化できない種類および量の微生物剤その他の生物剤またはこのような種類および量の毒素」を
「開発せず、生産せず、貯蔵せず若しくはその他の方法によって取得せずまたは保有しないこと」を締約国に義務付けている。
第二開催検討会議では、近年発達する遺伝子組換技術、バイオ技術の発展を鑑みながら、こうした分野にもBWCが適用されることを確認している。
また1条(二)では「敵対目的のために又は武力紛争において使用するために設計された兵器、装置または運搬手段」についても開発、製造、貯蔵などの禁止を締約国に義務付けた。ただし弾道ミサイルの推進装置はこの定義に含まれないと理解されている。
尚、本条から身体防護目的・防疫目的の研究・開発などが除外されているが、「擬剤」のように目的の判断が困難場合がある。
そこで再検討会議では透明性確保のために情報交換を行うことに合意した。
締約国が第1条に該当する生物兵器などを持っていた場合9ヶ月以内の廃棄もしくは平和目的利用が義務付けられる(2条)。
他者による移譲、そのた支援も禁止される(3条)。
締約国は自国の憲法の手続きに従った条約の国内的実施が義務付けられている(4条)。
但し、BWCはCWC化学兵器禁止条約を異なり、検証措置が存在しない。これは交渉時、当事国が生物兵器の軍事的価値を低く見ていたこと、ソ連などが検証に消極的態度を採っていたことになどによる。
せいぜい、締約国は後に生じた問題について相互に協議することを約束したに留まり(5条)、締約国が他国の義務違反を認めた場合、安保理に苦情を申し立てることができるが(6条)、こうした規定では締約国の義務違反を抑止できなかったことが後に明らかになる。
第三節 生物兵器禁止条約の実施
70s~80sにかけてBWC違反が疑われる事件が発生する。ソ連スベルドロフスクにおける炭素の流行、および東南アジアやアフガンにおける毒素兵器使用疑惑である(黄色い雨事件)。
スベルドロフスクについてはソ連は否定したが、後にエリツィンが事実を認めている。
黄色い雨事件では米国がソ連圏諸国は批判したが、ソ連などはこれを否定した。
こうした論争の中、米国はBWCが実効性のない条約ではないかとの疑問を呈した。米ソ両国がBWCに対して不信感を持つことは条約体制を弱体化させる事態である。
生物兵器の懸念が強くなった時代背景と相俟って、再検討会議などの場で条約の強化が取り組まれるようになった。
第二回再検討会議では信頼醸成のために情報交換が提案され、一定の評価が得られたが、提供される情報が不十分であることが問題点として批判された。
第三回再検討会議では検証制度の導入の動きも見られた。1994年条約の実効性確保と履行状況改善に向けて法的文書を協議するアドホックグループの設立に合意した。
ここで問題になったのは、生物兵器の特質を念頭に置いた履行確保措置の確立、バイオ業界などが懸念する企業秘密漏洩の防止、国家安全保障上の機密保護、制度運用に当たる国際機関の権限、非同盟諸国が平和協力を先進国から経済援助を求める手段として悪用しないか、、オーストラリアグループの定める輸出管理措置についての基準がなどが非同盟諸国にも適用されてしまうのではないかといった懸念、である。
アドホックグループの活動は中々進まず、第五回再検討会議(2001年)においても交渉の土台とされたローリングテキストには未だ未解決の部分が多く、交渉国の意見がまとまらなかった。
2003年から2006までの第六回再検討会議では条約強化に関連した事項を順次検討することとされているが、肝心の、条約強化を目的とした協力体制を同構築するか、という部分について合意が未成立である。
第四節 生物兵器の禁止の展望
エリツィン大統領がBWCに違反するような計画の停止を命じた後も、米国は懸念を捨てなかった。そこで米英露三国の政府高官は共同声明を発表、条約の完全遵守を確認した。
しかし、軍事施設の訪問に関してこう着状態に陥り、生物兵器施設への総合訪問なども行われていない。
生物兵器計画に利用されるおそれがある汎用装置、微生物・毒素などの国際移転については、オーストラリアグループが、共同管理リストの見直しを行ってきている。さらに大量破壊兵器、運搬手段、関連資材の移転、移送阻止を目的とした「拡散防止構想PSI」を提唱したことを契機に、PSIに基づく国際的協力の構築も開始された。
現在BWCの強化に向けた動きに展望が開けない。現状ではBWCの弱体化を防止するために締約国に実現可能な措置を組み合わせていくことが求められる。
また生物兵器に開発・製造を確認すること自体容易ではない。国連は10年以上わたりイラクの生物兵器計画を調査してきたが、秘匿されている生物剤、施設を発見できていない。
検証することが難しい場合、米国など強力な軍事力が強制的に武装解除を行うインセンティブを高めることになる。しかしこうした一方的行動が多国間交渉を通じて行われてきた軍縮・不拡散体制の強化に資するとはいえない。
第五章 化学兵器の禁止 [軍縮・不拡散問題入門]
普段の閲覧数と異なり何故か昨日だけいつもの10倍以上の閲覧数が・・・何故だろう。しかも忍者カウンターには反映されていないし。ホントよく分からない。
「第五章 化学兵器の禁止」は大学時代のゼミの先生だった浅田先生ご執筆。だからなんだってわけでもないですが、書いていきます。
第一節 化学兵器禁止の意義
化学兵器使用の最初の事例はWWIでドイツが塩素ガスを使用したことであるとされる(イープルの黄色い霧)。連合国側もこれに対抗して化学兵器を作成し応酬している。
連合国はガス・マスク装着によってドイツの化学兵器の効果を縮減しようとしたが、ドイツはマスクのみでは防護できない糜爛性剤のマスタードガス(致死性)を作成している。
WWIでは化学兵器の応酬で死傷者が120万人程度、死者が10万人以上出た。戦中、戦間期には強力な化学兵器である、ルイサイト・タブン・サリンの開発・生産もなされた。
化学兵器の種類。
①窒素剤
②血液剤
③糜爛剤
④神経剤
⑤無能力化剤
第二節 化学兵器禁止条約CWC
戦後のジュネーブ軍縮会議では核兵器軍縮が優先されて、1968年にNPT成立の後生物・化学兵器の軍縮交渉が開始されることになる。1969年には「化学・細菌(生物)兵器のその使用の影響」(BC兵器白書)が刊行している。
その後英国の提案により、生物兵器と化学兵器を分けてそれぞれ交渉することとなり、生物兵器禁止条約が先に交渉され、条約が1972年に成立する。しかし、CWCの交渉は遅々として進まず、1992年軍縮委員会の後進、軍縮会議において完成を見た。この背景には米ソの対立がある。
その後、イラン・イラク戦争における化学兵器使用、それを契機としたオーストラリア・グループの結成に象徴される化学兵器拡散の危機を背景に、交渉が本格化する。湾岸戦争に前後して、ソ連と米国も義務的現地査察を原則的に受け入れ、化学兵器の全面的禁止、全面廃棄が可能になる。
CWCは1997年に発効、締約国会議、執行理事会、技術事務局からなる化学兵器禁止機関OPCWが同時に発足している。
定義。2条①毒性化学物質及びその前駆物質、②毒性化学物質の放出のために特別に設計された弾薬類・装置、③右の弾薬類、装置の使用のために特別に設計された装置を合わせてまたは個別にいうものとされる。
また、条約目的に反しない活動を保護するべく、条約によって禁止されていない目的のためのものであって、その種類と量が当該目的に適合する場合には、毒性化学物質やその前駆物質であっても化学兵器とはみなさない旨の除外規定が置かれた。
規制。
・化学兵器の使用禁止…化学兵器の使用については暴徒鎮圧剤や除草剤について一定の規制を及ぼすとの解決が図りながら、「いかなる」場合にも化学兵器のしようを禁止する。条約締約国だけでなく非締約国にたいする使用も禁止される。
・化学兵器の廃棄…締約国は「所有」「占有」する化学兵器について自国の「管轄」「管理」の下にある化学兵器を廃棄することを定める。
化学兵器の廃棄は条約が発効してから2年以内開始し、条約自体発効から10年以内完了することが義務付けられている。
CWCは通常のものとは別に老朽化化学兵器と遺棄化学兵器には別の規定を定めている。遺棄化学兵器(1925年以降にその同意を得ることなく他国に遺棄されたもの)については遺棄締約国と領域締約国の双方に廃棄義務を課している。しかし、検証付属書では廃棄のための全ての資源は遺棄締約国がが提供するものとされる。
日本が中国に遺棄された70万本以上の化学兵器について除去することはこの検証付属書の義務に基づくものである。
また、CWCは化学兵器生産施設の廃棄まで義務付け。この種の条約では前例のないほど義務が徹底されている。
産業活動の規制。
・化学兵器の生産禁止…化学兵器は民間企業にも製造可能なため、その拡散阻止は化学産業による申告に基づいた査察によって確保する(産業検証)。
民生用の化学物質の使用については、申告と査察受け入れ義務があるだけで、生産量の制限といった活動そのものに対する規制は原則として存在しない。ただ、化学兵器以外の使用が想定できないサリンなどについては、研究などの目的の場合であってもその保有量を制限し、生産施設は国の承認を得ること、検証類似の制度を定めることなどの義務がある。
・化学兵器の拡散防止-貿易規制…拡散の問題はCWC成立の大きな動因となっているものなので、CWCでは「化学物質に関する付属書」に掲げられた表在に関して貿易規制を行うことで対処を図っている。
付属書の中、表1剤については非締約国への移譲・輸出は禁止され、締約国には許容された目的のためである場合に限って移譲が認められる。表2剤、表3剤も、非締約国と締約国に区別をつけて、非締約国が条約に加盟する誘引を高めている。
申立て査察。検証措置は条約が守られているかを確認するために重要である。産業検証、廃棄検証は申告に基づくものであったが、申告が行われなかったものには無力である。この意味で各締約国には拒否権がある。
CWCでは拒否権のない「申立てによる査察」の制度が作られた。これは軍縮関連条約としてはじめて設けられることになった。
「申立て」は条約違反の懸念を持った各締約国の要請によって開始され、執行理事会が4分の3で中止を決定しない限り、査察は実施される。
被査察国に対しては、査察団に入国12時間前に査察の通告が行われている。ここで被査察国は査察対象区域を決定するべく交渉を行う(外縁交渉)。被査察国は108時間以内に査察要請国が要請した外縁内でアクセスを提供する義務付けられている。
アクセスは完全無制限ではなく管理されたアクセスの手法が適用される。自国の情報保護のために被査察国は査察の交渉により、設備への覆い、サンプル分析の制限などの措置が取れる。(ただしそうした物件など懸念と無関係であることを証明するために「あらゆる合理的な措置」をとる必要がある)
第三節 化学兵器禁止条約の実施
現在CWCの締約国は160以上にのぼる。その理由としてはNPTと異なり、被差別的性格、違反を許さない徹底した検証制度、加盟の誘引となる貿易制限措置などによるものと思われる。
締約国も単に多いだけではなく、米露等全ての安保理国、日本・ドイツなど主要先進国や、インド・パキスタン・ブラジルなど地域大国が含まれている。化学兵器保有国と疑われてきた多数の国も含まれており、近年ではリビアの加盟が注目される。
他方、イラク・シリアや北朝鮮など一部の国が非締約国として残っている。
CWC発効と同時に各種申告が行われ、化学兵器保有国は冒頭申告でその事実を公表することになる。
申告された化学兵器・化学兵器生産施設は条約規定に従って廃棄されることになるが、義務の履行状況が芳しくない。特にロシアは財政・環境問題のために2002年にようやく廃棄作業を開始するようになる。
第四節 化学禁止条約の展望
化学兵器規制の必要性は、大量破壊兵器の中でも化学兵器が最も使用可能性が高く、最も製造が安価かつ容易であることから、禁止への合意に抵抗があったこと、広範に存在する民生用途との関係から、検証措置への合意にも困難を伴ったことなどによる。
CWCは先に成立したNPTや生物兵器禁止条約に比べてすぐれた点が多い。NPTは核兵器国と非核兵器国とに分けている点で差別的であるが、CWCは全ての国が平等に扱われている。
また画期的な検証措置がとられていることも注目される。
しかしこの画期的なはずの「申立て査察」がこれまで一度も実施されていない。2003年の第一回CWC再検討会議でもこの点が問題にされている。これは条約の信頼性をも失わせかない。
「申立て査察」が行われない理由は、
「申立て査察」を行っても発見できないことがあり、疑惑国の「無実」を証明するということにもなりかねず、疑惑国への制裁正当化が困難に成ること、
報復的申立て査察の可能性、
申立て査察を行う際には、違反の疑惑に関連する情報を提供する必要があるが、これは情報源の秘匿保護の観点から問題がある、
CWCを超えた広い意味での二国間関係の考慮、
ということが挙げられる。
先進国は違反抑止の観点から申立て査察のルーティン化を主張し、途上国は申立て査察のルーティン化を主張する。この対立は申立て査察に関する対立はかなり根本的なものであって容易には解決しそうにはないが、この問題はCWCの将来に関わる重要な課題である。
『道路の権力』 [書籍:『』「」付記]
郵政もメディアにあまりでなくなって久しいですが、もっと久しいのが道路です。あ、道路特定財源の話が出てくることがあるか。
日本政治最大の問題の一つであることに間違いない「道路」。
本書は道路公団民営化委員会にもなって道路利権に立ち向かった猪瀬さん視点の記録というべきものだと思います。文庫版になったので買ってみました。今からあの頃を思い出しながら見ると面白いのかな、と思いました。
もう書評も結構書かれているみたいですが、賛否両論ありますが、どうも読み手の道路公団改革の成果に対する認識がそのままこの本の評価になっていることが多いみたいです。特に否定的意見を感じる方に。この本はそれだけの視点で評価されるべきものではないだろう、と感じました。
僕には道路公団改革の是非、民営化委員会の答申とか、そういうのに評価を下すことはできません。理由は2点あって、1つは道路行政のことがよく、というか殆どわからないことです。マスコミが道路公団を批判してるのは知ってますし、道路政治の実態はひどい、ということは分かります。おそらくですが、道路政治の改革は必要なのだと思います。しかし、どうすべきかはよく分かりません。
2つ目は改革は一日にして成らずということで、改革はするにしても時間がかかります。だから今の段階で、この案(それが良いか悪いかは別として)は成功してないとかいえないと思うのです。それに成熟した社会での政策というのは色々な関与者を経た上で実現されることになります。当然、はじめの原案に対して色々な過程で介入があるものだと思います。そして原案が途中で介入されたことをもってはじめに案を書いた人にたいして批判をするのはフェアではないように思うのです。
そして未だ道路の改革は道半ばです。未来が見えないので色々な評価が出るのは仕方ないでしょう。今の段階での評価というのは、所詮ものの見方に左右されるのだと思います。
一歩前進したことについて、「今まで踏み出せなかった一歩を踏み出した」と評価するのか、「まだまだ手ぬるい」「妥協の産物」「骨抜き」と評価するのか、人それぞれでしょう。
成功か成功でないかは、これからにかかっています。マスコミ、そして僕達の問題は物事の一番盛り上がるところしか見ないということではないかと思います。しかし大事なのははじめの案がどのように実現されていくのか、あるいはされていないのか、までもちゃんと見つめる姿勢だと思います。
さて、それはともかくとして本書には評価されるべき点があります。
僕が一番評価するべきと思ったのは、猪瀬さんが道路公団の民営化案を作成する過程を詳しく記述している点で、(猪瀬さんの主観が入っていますが)日本という国で何か物事を変えようとすることがどれだけ難しいか、ということを明らかにしている点だと思います。
道路はまさにその典型例、色々な利権が網の目のように張り巡らされており、一つ動かすだけでどこからか必ず反発が起こります。既得権益を持つものがあらゆる手を使って改革を阻止しようとします。
難しいのは彼らは自らの正義を信じている点であり、更に悪いことに彼らの正義は決して間違っている、とはいえない点です。「国土の均衡ある発展のためにはインフラたる道路は不可欠」というのは別に悪いことではありません。現実には「必ず正しい」という一つの解はありません。色々な正義を実現しなくてはならない。有名な政治学者が「政治とは妥協である」というのは現実の一側面を絶妙に捉えたものであると思います。
更に難しいのは、改革を実現するものは常に少数で戦わなくてはならない、ということです。小泉さんへの国民の支持は高いですが、だからといって現実の政策実現を手伝ってくれるわけではありません。それに引き換え、改革に立ちはだかるのは官僚です。官僚は一人ではありません。組織です。表現は悪いですが、頭を幾らつぶしても死なないのです。うまく組織が機能しているときは良いのですが、腐敗した、硬直した官僚組織というのは最悪ですし、戦わなくてはいけないときには、とてつもなく手ごわい組織です。また組織であるがゆえに誰と叩けばいいのか分かりません。そして一人ひとりは「いい人」が多いのです。
官僚はその分野のエキスパートです。その知識量は半端ではありません。
また、国に関する情報を独占しています。公開されているものも多いですが、秘匿されているものも多いです。
加えて外部の人間には閉鎖的な側面がある、ということもいえると思います。人間誰しも今まで一緒にやってきた仲間とそうでない人には区別をしてしまうものです。
そして腐敗しています。「腐敗しない権力はない」という言葉を実証したわけではないですが、そういうものなのだと思います。
本書で明確に語られているわけではないですが、僕が問題として考えたいのは、最終的に政策を実現するのは官僚以外ありえない、ということです。政策の執行は「行政」が行うのです。そうするといかに官僚を戦おうとも実現段階は官僚がするしかないわけで、ここに官僚が受け入れない案が骨抜きにされてしまいかねない危険性があります。
もちろん監視することはできるでしょうが、膨大な行政全てを監視することはできません。どこかにほころびは生まれるのでしょう。
猪瀬さんたち7人の民営化委員の人たちの最大の敵(全ての委員が敵と思っていわけではないでしょうが)はこうした官僚あったといえます。その中で猪瀬さんが民間人でありながら頑張っていることはとても評価できます(はじめに述べたように中身の当否は別として)。
委員会の事務方も官僚とか道路公団の人で、情報の公開とかに非協力的です。出せといっても中々出しません。そして微妙な嫌がらせが多くあります(猪瀬さん視点ですが。猪瀬さんの主観的なところを無視して、事実だけ見ても、書かれている事実がうそでないという前提ですが、ひどいですね。)。粘り強く情報の提供を要請し、情報を出させるようにする。忍耐が要る作業です。
それと関連して評価するべきは、猪瀬さんのfacts finding、事実調査というのが大変しっかりしている点です。観念論ではなくミクロの事実をよく分析しています。役人顔負けだったと思います。そしてしっかりした事実の調査を基にして、論理的に官僚、道路公団の職員に詰め寄るのは圧巻ですね。数字をよく調べて、ここの数字は何故こうなるんだ、と問い詰めていく。答えを聞きながら、どさくさにまぎれて議論をずらされていないか、どこをごまかされたのか、ということのチェックをつぶさに行う。本書を見れば猪瀬さんがどこまで突き詰めて議論を行っているのかがわかります。(官僚はごまかすのはうまいですから)
論理と事実についての正確かつ緻密な知識、改革を行おうとす者の大きな武器がどのように使われたか、本書はそれを見るための良い教科書になるのではないかと思います。
そこで更に思うのが、それでも尚改革を行うことを難しさです。ここまでやっても玉虫色の表現を使わざるを得ない、抜本的な改革、革命はできないのです。
逆に本書にも残念なところがあります。自分の思うことが書いているのは良いですが、文章に主観が入りすぎています。道路公団改革、という重要な問題の、しかも改革にたずさわった人の記録なのですから、もっと客観的な記述にして欲しかったです。そのほうが如何に改革が難しいのか、などの問題を構成に伝えるのに良いように思います。その分読みにくいだろうけど。
どこまでが猪瀬さんの主観なのかがいまいちはっきりしないので、第一級の資料と成りえないのかなぁ、と感じていしまいます。
その意味では悪口も良くないですね。
僕は猪瀬さんのそういうところはどうも・・・。TVとか見てても、喋り方が悪いのか、人を見下した感があります。もう少し大人になられたほうが・・・。
でもこういう人だから、エネルギーがあるのかな?性格のいい人はエネルギーが無くて、改革とかに向かないですから。
そういえば『道路の決着』なる本を出すそうです。頑張ってください。
第四章 非核兵器地帯の設置 [軍縮・不拡散問題入門]
核兵器については今日で一応終了。つぎからは別のテーマに。
第一節 非核兵器地帯の意義
非核兵器地帯とは、一般的には、ある地域の複数の国家が条約を締結し、そこにおいて核兵器の生産や取得のみならず、他国による核兵器の配備をも禁止することを約束するものである。これには消極的安全保障の約束も含まれる。
非核兵器地帯は軍縮を補完するものであるが、これまでの軍縮措置(NPT等)と異なり、非核兵器国のイニチアチブによって提唱されたものである、ということに大きな特徴の一つがある。
第二節 非核兵器地帯構想の歴史的展開
非核兵器地帯の構想は1957年のポーランドが欧州で提唱したことが初期の段階である。中央で提唱されたラバツキー案は通常戦力で優位になるとの理由で西側に拒否される。
冷戦期においてはキューバ危機を契機として、南米が、その後中東、南ア、南太平洋で非核兵器地帯構想が検討された。
冷戦終了後に非核兵器地帯構想設置の動きが強まる。米国が韓国に配備していた核兵器が撤去されるようになり、朝鮮半島の非核化に期待が持たれた。91年に北と南は朝鮮半島非核化共同宣言に署名。94年には米朝枠組み合意が成立する。
しかし、2005年には北朝鮮が核兵器保有を宣言している。また冷戦終了後に東南アジアでの非核地帯構想が、また別に、アフリカ・モンゴル・中央アジアなどでも進展が見られた。
第三節 非核兵器地帯条約
ラテンアメリカ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)。
南太平洋非核地帯条約(ラトロンガ条約)。
東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)。
アフリカ非核兵器地帯禁止条約(ペリンダバ条約)。
中央アジア非核兵器禁止条約。
第四節 非核兵器地帯条約の展望
様々な地域に非核兵器禁止条約が成立していた。よって加盟国を増加させることによって地球上の国全てが署名されるようになることが望まれる。
北半球における非核兵器地帯の創設が望まれる。
非核兵器地帯の国家には多くの場合米国の核兵器が配備されたままになっているらしい。冷戦後の情勢の変化に対応する必要があるであろう。
就活で面談する [就職活動日記]
カウンターつけたのですが、管理画面にある総閲覧数と異なるのは何故なんでしょうか?やっぱり取り外そうかな。
それはともかく、以下本題。
行く度に
ネタがあるのは
止めてくれ
こんな心境の就職活動。
今日こそはネタがない就職活動を、という心境で行動。
0300時くらい 明日(今日)に備えて寝る
0900時 目覚ましを止める
1200時 起きる。病院の診察に行く予定だったが、診察予定時刻を過ぎている。虚しい。
WBCで日本が韓国に負けた。僕が見るまではいい試合だったのに。WBCを見たこと自体を反省する。
1600時 WBCの影響で延期された昼ドラが始まる。ナースもので、理事長とヒロインが喧嘩していた。荒れ狂う理事長が「お前は何でそんなに俺のことを構うんだ!」といったら、
「あなたを愛しているから!」と開始早々意味の分からない展開が。展開が非常に気になったが、面談の準備のためにTVを消す。
今日の僕は大変用意周到だった。まずきちんと天候を読んで傘を準備した。実際新宿に着いたらどしゃ降りだったので、この意味で賢い選択だった(当たり前だが)
1620時 1800時の面接のため出発。時間に大変ゆとりを持っている。新宿の喫茶店でゆっくりするつもりだからだが、ゆとりを持って行動している点大変賢い。
1635時 日暮里駅に到着。ここで女子高生を発見。なんかスカートが大変短い。大丈夫か?すぐ先には大変急な階段があるぞ、なんて思っていたら、その女子高生がやたらに足を上げて靴を直している。なんか挑発手いるように見える。
そんなことを考えているうちに件の急な階段の直前に。ここで後ろで女性の笑い声が聞こえる。小声ながら誰かが、
「誰か引っかかるかな」といったのが聞こえる。
ふと見てみると同じく女子高生の集団が。後ろを見たらいきなり目をそらされた。
ここで何か嫌な予感が働く。
女子高生の集団は僕ではなく、どうやら前にいる女子高生(女子高生集団を区別をするために、以下女子高生A)を見ながら笑っているようだ。知り合いなのか?ならば何故話しかけないのか?
そんなことを思ううちに、女子高生Aは階段を上る。通常こういう場合かばんで後ろ隠すのが常らしいのだが、あまり隠す気もないらしい。
女子高生集団はそれより10数M後ろからついてくる。
因みに僕は嫌な予感がしてから女子高生集団の後ろに避けている。女子高生集団が階段を上りきろうとするところで、何故かというべきか、案の定というべきか女子高生Aを発見。Aと女子高生集団はなにやら話をしている。
何を話しているのかわからなかったが、謎を勝手に解いておいた。
これは罠だ。Aが餌となって、男が覗かせようとしているに違いない。その男をどうするつもりなのかは分からない、後ろから笑うだけなのかもしれない、しかし巧妙な罠だ。こんなのでつかまって就活に行けなくなってしまったら末代までの恥だ。
企業全体に出回っているブラックリストがあったら僕のニート生活が決定してしまう。
東京は恐ろしい・・・
と思いながら駅の改札を通ろうとする・・・
が、ここで第二の事件が!!
財布を忘れてきてしまった。
茫然自失。
ポケットに千円くらい入っていないかな、と思ってごそごそしていたら、背広のポケットからお札の感触が・・・
これだ、と思って取り出してみたら、お金はお金でも台湾円だった。台湾に行ってからまだ換金してなかったのだ。
これはさすがに使えない。やむなく僕は下宿に帰った。
嗚呼、喫茶店で面談前に優雅なひと時を過ごす予定だったのに。無念。しかし、そうした余裕をとっておいてよかった。これが「安全保障」ということだろう。
1710分 日暮里駅
1730分 新宿到着
1750分 会社に到着。今回は近くの喫茶店に連れて行かれる。そこで面談。
今回は内容に問題は無かった。しかし怪しい表現が連発される。
多かったフレーズ
「なんと言いましょうか・・・○○・・・って言うんですかね・・・・うーん、違うな・・・・かな。これも違う」
数回使ってしまったのですが、中身はともかく何を言っているか分からない。
「そこは難しいと思うんですよ。最終的にはバランスが大事に成るんでしょうね。そしてバランスを経験に基づくと言いましょうか・・・」
完全に官僚答弁。やっぱり何を言っているのか分からない。これも何回か繰り返した。
しまいには
「バランスが好きなんですね」と突っ込まれる。うう、つらい。
なんとも言えなかったのは、
「もふぃさんは内定もらってもその仕事するのか悩むんじゃないですか?」と言われたこと。
やる気がないのがばれたのか?とドキドキする。
それでも無事終了。次の三次面接のアポイントメントを取るために予定を聞かれて、おめおめ帰る。
こういう面談とか面接はためになります。自分をどうやってみせるか、という練習には実践あるのみですね。
帰りに紀伊国屋で本を買って帰る。
最近の僕はよく本を読む。
別に自慢をしたいわけではないです。
公務員試験をやらなきゃいけないこの時期に限って読みたくなるのが悲しいのである。
本当にやらなくていけないことがあるときに別の時にやりたかったことをやってしまう。
人間とは難しいものだ。
僕がダメなだけか?
第三章 核実験の禁止 [軍縮・不拡散問題入門]
20000HIT超えた。その瞬間に立ち会えなかったけど嬉しい。これからも頑張ります。
第三章 核実験の禁止
第一節 核実験禁止の意義
核実験という場合、通常核爆発実験を意味するが、爆発も伴わない核実験も存在しており、各種部品の耐久性のテスト、強い襲撃を加える安全性テスト、コンピュータシュミレーション、未臨界実験などがそれに当たる。本章では条約交渉が実際に進められている、核爆発実験を対象とする。
核実験の目的は核兵器開発のために必要な技術的問題を検討することだけではない。自ら核攻撃能力の誇示や、反撃能力があることも示す核抑止戦略としてのデモンストレーション、また実際の兵器としての実用性確認のためではなく、自国の国威を発揚するためということも重要な目的となる。
一方核実験禁止の目的は、第一に国家の核開発能力を制限することによる核兵器拡散防止、
第二に、核兵器国による核兵器の改良を抑えることによる質の面での核軍縮、
第三に、核実験の禁止に合意することにより、緊張緩和を促進することによる、信頼醸成措置CBM、
第四に、放射性物質による環境汚染、
が存在している。
核実験は現在まで専ら軍事目的で実施されてきたが、核爆弾の開発初期では、大規模土木工事や地下資源開発など、平和利用目的核爆発が真剣に研究されてきた。NPT5条はその反映であるが、大量の放射性汚染等に鑑み現在では非現実的なものとされている。
第二節 部分的核実験禁止条約PTBT
1963年米英ソはPTBTに合意、地下以外での核実験を停止した。
PTBTは地下核実験、検証を棚上げして短期間に作成されたが、その背景としては、1)核爆発実験への国際的批判、2)地下核実験のための技術的な進歩があり、核開発に大きな障害がなくなったこと、がある。
しかし地下核実験技術が確立していなかったフランス・中国はPTBTに参加せずに大気圏内での核実験を続けた。
PTBTは地下核実験を禁止しないことから核軍縮には役立たなかったが、核軍縮、核不拡散のための現実的な第一歩を踏み出したものであり、将来の全面核軍縮を最終的な目的として定めた点、評価できる。
第三節 包括的核実験禁止条約CTBT
CTBTのための実質的交渉は1993年のジュネーブ軍縮会議CDで合意された。
その背景には、1)冷戦の終結、特に米露間の核開発競争の解消、
2)技術の進展により既存兵器の維持、小型核の開発であれば、未臨界実験、コンピューターシュミレーションにより行うことが可能になったため、
3)核兵器国にとって、核兵器国間の軍備競争によりも核不拡散がより重大な問題として浮上したこと、
が挙げられる。
しかし実際の交渉になると、いくつかの問題、特に、具体的な期限を設けての核兵器廃絶へ言及するかどうか、という問題と発効要件を巡る問題で最終合意が成立しないままに交渉が事実上打ち切られた。
CDではCTBTに向けての合意は成立しなかったが、CTBT早期成立に熱心であったオーストラリアを中心とする国々は、この状況に不満を持ち、特に最後の段階まで反対していたのはインド一国だけであることか勘案し、CTBTの条約交渉は実質的に合意が達成されているとして、CTBT草案を自国提案として国連に提出した。
そして結果的に総会では圧倒的多数の支持を受け採択、通常の条約同様、署名、批准の手続きが始まった。
CTBTは軍事目的か平和目的かを問わず、規模の大小を問わず核爆発を伴うあらゆる実験を禁止すると同時に、他国の核実験のために自国管轄の場所を使用させるなどの支援を禁止している。
またPTBTと異なり、義務内容の実効性を確保するために、独自の国際機構と検証制度を設けている。
また発効要件として原子力関連施設を保有する44カ国の批准を必要としている。これは当該44国(印、米等含む。日本も)に実質上の拒否権を与えるものであるが、一国でも参加しな国家いると条約の目的がそこなわれることから、敢えて厳しい要件を課している。
条約が3年たっても発効しないと加盟国間で締約国会議が開かれる。現在までに3回ほど開かれている。
さらに、条約の再検討については加盟国の中で一国でも反対する国がいると変更はできないことになっている。
CTBTは条約の信頼性確保のために、独自の国際組織をつくり、世界的な監視ネットワークを作ることが意図されている。CTBTは締約国会議、執行理事会、監視ネットワークを担当する国際データセンターを含む技術事務局の三つの内部機関からなるCTBT機関を設けている。
国際データセンターは地下核実験を探知する地震波探知ステーションをはじめ、放射性降下物探知ステーション及び微気圧変動探知ステーション、水中音探知ステーションからなる監視ネットワークを維持・管理し、必要なデータを収集するとともに、締約国が求めればそのための必要な支援を行うことになっている。
条約違反の疑いがある場合、締約国はその国に対して協議を申し込むことができ、それでも疑いが解消されない場合、現地査察を行うように執行理事会に要請できる。
第四節 核実験禁止の展望
CTBTは署名174国、批准は120国にのぼる。発効に必要な44国で言うと、印パは署名してすらいないし、米国中国も批准をしていない。また北朝鮮、イラン、イスラエルなど核兵器開発疑惑国も批准していない。
米国はクリントン政権時、批准に積極的であった。上院で多数を占める共和党は批准を拒否した。その背景には、国際的制度による抑止効果への不信、新たな核戦略のためには核実験が必要であることが挙げられており、自らの力により自国の安全保障を保とうという伝統的な安全保障観への回帰が伺われる。
現在、締約国会議のほかにCTBT発効に積極的な国家によるCTBTフレンズが作られており、批准のための働きかけ、核実験モラトリアムの継続を呼びかけている。
しかし、上記国家の批准の見込みは立っておらず、いつまでモラトリアムが続くのか不透明である。CTBTの将来には現在悲観的な見方が多い。