個人的には画期的なことなので、紹介を。
表面処理鋼板反ダンピング関税 ITC13年ぶり廃止
12月16日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
【ワシントン=渡辺浩生】米国際貿易委員会(ITC)は14日、日本などから輸入している表面処理鋼板の反ダンピング関税を1993年以来、13年ぶりに廃止すると発表した。日米貿易摩擦の象徴となったが、トヨタ自動車など日系3社とビッグスリー(米自動車3大メーカー)が共同で撤廃を要求。ITCも鉄鋼業界の競争力回復で必要性が薄まったと判断した。
ITCの決定は、日本、フランス、オーストラリア、カナダの4カ国への関税を撤廃する一方、韓国、ドイツへの関税は維持するとした。
表面処理鋼板に対する反ダンピング関税には、米鉄鋼業界の救済色も強かったが、その後、米鉄鋼業界は再編で競争力が回復。鋼板価格の上昇で自動車製造コストを圧迫しており、トヨタ、日産自動車、ホンダはライバルのビッグスリーと共闘して撤廃を要求していた。
日米の自動車メーカーが貿易問題でスクラムを組むのは極めて異例で、報道によると、ITC委員6人の評決は4対2と小差となり、今回の日米6社の協調がITCの決定につながったとの見方もある。日系3社は現地での生産や部品調達を進めており、今年340万台弱に上る現地生産車両も、鋼板は輸入品ではなく現地調達が大半を占める。
日米6社は14日、「米国鉄鋼市場の競争力回復に重要なステップ」(トヨタ自動車)、「立ち直った米鉄鋼業界には不要の保護。他の米製造業の競争力を阻害する要因が1つ取り除かれた」(フォード・モーターのビーガン副社長)などと、決定を歓迎する声明を発表した。
一方、高関税撤廃の対象となった4カ国は表面処理鋼板の輸入量で6割のシェアを占め、撤廃により製品価格が下がれば、米鉄鋼業界にとっては痛手となる。米鉄鋼大手USスチールは「今回の決定には失望している」との声明を発表。全米鉄鋼労組(USW)も「不公正な貿易慣行に目をつむった」と、ITCを非難した。
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■日本の主張認められた 鉄連
日本鉄鋼連盟(馬田一会長)は15日、声明を発表し、「日本鉄鋼業界の主張が認められた」として、歓迎した。声明はまた、「今後、同様の姿勢が維持され、米鉄鋼市場における自由貿易主義が確保されることを強く希望する」としている。
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【用語解説】表面処理鋼板
表面にさび止めのメッキ加工を施した鋼板。1990年代には自動車用鋼板の3分の2を占めるようになった。米鉄鋼メーカーによる大規模なダンピング提訴を受け、米国政府が93年、日本、韓国、ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダの6カ国に、最大で40.19%の反ダンピング関税を課した。 |
日本も色々言われていますが、国際経済法分野では米国と戦ったりします。とりわけ、日米が激しくやり合っているのはAD=アンチ・ダンピング措置に関してです。詳しい法的検討は次回以降に行いたいですが、米国がADを口実に保護主義的な政策を結構行っているわけです。
上のニュースもそのうちの一つです。通常、特に2000年以降ITCもしくは商務省がADを見直しをして廃止することは無かったわけですが(産業会が全く問題にしていなかったものを除く)、今回は日本企業だけでなく、米国企業をも巻き込んだロビー活動を行った成果もあって、廃止が決定されました。
この問題については2004年に、日本が米国を相手取りWTOに提訴しています。それで2006年9月にパネル(一審に相当)において、主張の一部が認容されたものの、その他の部分は認められないという判断がなされてしまいました。
翌月政府はこれを不服として上訴。現在、上級委員会で審理中です。
表面処理鋼板だけでなく、AD制度一般について米国がより適切な措置をとるように頑張ってほしいものです。
2006-12-16 10:55
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