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ユノ トレイダー事件 [国際法・国際関係]

年末なので余計な宿題を残さない、ということで判例まとめ。

国連海洋裁判所の事件です。

セントヴィンセント(以下、原告)船舶のユノトレイダー号がギネアビサウ(以下、被告)のEEZで漁業法で捕まってしまいました。それで荷、乗組員あわせて船舶ごと抑留されてしまった事件です。

抑留後、被告は色々あったあとにユノトレイダー号を没収しようとします。また、保証金を支払ったのですが乗組員を解放する様子が見られません。

そいうことで、原告が被告を訴えたのが概略です。

 

国連海洋法条約(以下、UNCLOS)292条には船舶及び乗組員の解放についての規定があって、話し合いなど解決しない場合、船舶の旗国が国連海洋法裁判所に行くことができます。

被告は最初に管轄権を争います。292条では、旗国が提訴できることになってます。過去の先例に照らせば、

原告の国は提訴の時点において旗国でなければならず、最初の逮捕抑留の時点で旗国であったというだけでは、裁判の管轄権は認められない

のですが、被告によればユノトレイダーは既に被告の当局が没収したので、現在のユノトレイダーの旗国は被告(ギネアビサウ)であるということらしいです。

一見無茶苦茶な様なことを言っているのですが、裁判所もそう思ったのかもしれません、あまり理由をはっきり言わないで、本件では上記先例のようなことはいえないとあっさり、被告の主張を却下しました。理由をもうチョットはっきりさせて欲しかった。

次に受理可能性に論点が移ります。

被告は受理可能性でもユノトレイダーの国籍に基づいた主張を行っているのですが、当然のように却下されます。また、本件抑留はUNCLOS73条1項の手続きに従っていることを根拠もありましたが、原告も73条1項については争っていないこと(むしろ争っているのはその次の73条2項)を理由に却下されました。

それで本案です。原告の主張は乗組員及び船舶の釈放に関するUNCLOS73条2項です。73条2項では

拿捕された船舶及びその乗組員は、合理的な保証金の支払又は合理的な他の保証の提供の後に速やかに釈放される。

ことが求められています。原告は保証金は払ったのだからはやく釈放しろという主張です。

裁判所は、2項については73条4項

「沿岸国は、外国船舶を拿捕し又は抑留した場合には、とられた措置及びその後科した罰について、適当な経路を通じて旗国に速やかに通報する。」

と関連して解釈しなくてはならないということ示し、73条2項は公正への関心をその目的とすることを確認し、被告が旗国に通報を行っていないことに留意します。

また、被告は乗組員はそもそも抑留されていないことを主張し、裁判途中に乗組員のパスポートを無条件に返還したことなどを指摘します。裁判所は、直前の被告の行動に関わらず、原告の主張に応じ、被告には乗組員、船舶の解放義務があることを判断します。

原告はorderを求めていたと思うのですが、裁判所は判決主文は解放義務があることをdetermineしています。よく分からんのですが、これには違いのがるのかもしれません。分かったら追補します。あと73条2項と4項の関係を言及した部分がつながっているようで結論につながっていないような気がするのは気のせいでしょうか。無くてもいい気がするのですが、それは素人の意見か・・・。そのうち調べることにして、とりあえず終了。

 

 

来年はもう少し色々書きたい。


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