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『特捜検察』上・下 [書籍:『』「」付記]

特捜検察 下   講談社+アルファ文庫 G 22-5

特捜検察 下 講談社+アルファ文庫 G 22-5

  • 作者: 山本 祐司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫

 

特捜検察 上   講談社+アルファ文庫 G 22-4

特捜検察 上 講談社+アルファ文庫 G 22-4

  • 作者: 山本 祐司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫

 

最近読んだ本ではないですが、お勧めなので紹介したいと思います。

タイトルの通り、検察について本で、政治家・官僚・企業の汚職に挑む姿が描かれています。

汚職というのは立件が極めて困難らしいです。この汚職に関係する犯罪を検察・法務省の権力闘争、政治家の介入、世論の動きなど様々な現実の中で特捜検察が挑んでいきます。

この本では戦前から現在、鈴木宗男の逮捕に至るまでの主な汚職事件の展開が検察の視点から書かれています。そして、主な対象となっているのがロッキード事件、リクルート事件です。

戦後最悪の汚職である、これらの事件では検察は大変苦労します。元首相田中角栄の逮捕については、あらゆる万難を廃して、情報が漏れないように極めて慎重に行動します。また、逮捕に至った後も田中派(現在の旧橋本派)を中心に存在する田中角栄擁護論、そして法務大臣の積極的とはいえない行動、犯罪そのものだけでなく司法として解決すべき問題を政治的に解決する動きとも闘わねばなりませんでした。

また、検察側も必ずしも一枚岩ではありません。なかでは激しい権力逃走が存在しており、そのなかで検察が政治に対して十分に動けないときもありました。

そして、検察側を悩ませたのは「国家有用論」です。これは、天下国家のために有意の人物に対しては汚職といった小さな犯罪で逮捕するべきではない、という考えです。政治家の中だけでなく、検察側にもこうした考えを持つ人物がいました。

しかし、特捜の論理、選挙違反・贈収賄などを放っておいては、かならず社会が自壊作用を起こしていまう、検察がこうした「がん」を切除しなければならない、という考えのもと、歴代の検察高官は挑戦していきます。国家有用論によって消えた疑惑も多いですが、田中元首相、金丸元副総理など大物の逮捕を実現していくのです。

 

汚職のあるところに、社会の安定はありません。かならず、歪みが生じます。ましてや、検察が政府の中枢にいる高官だけ差別して捜査を緩めるなどということは決してあってはなりません。この本はそんな当たり前のことを再確認させてくれました。それにしても、汚職の多いこと、多いこと。最近は疑獄と言われるものは見ませんが、汚職の報道には枚挙にいとまがありません。

やはり、同じ政党が長期期間にわたって権力を握るのはだめなんでしょうね。今まで、自民の中でも権力と離れたところにいた小泉さんが首相になったことで、少しはまともになったんでしょうが、日本歯科医師会の事件とか見るとまだまだかな、という感じもします。

「絶対権力は絶対に腐敗する」という格言があります。最近自民党が史上かつてないほどの勝利を果たしましたが、こういうときにこそ気をつけなければならないと思います(自民党はマスコミが批判的になることを警戒してますが、そのくらいのほうがいいのだと思います。まぁ、今のマスコミの態度がいいかどうかは別として、一般論の話ですが)。

ちなみに、日テレ(読売)の報道番組「バンキシャ!」でよくコメントをしている河上和雄氏はロッキード事件とか等で活躍する姿がこの本で描かれてます。そういう姿を読んでるとあのおじいちゃんが少し格好良く見えてきます。


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