『宮沢喜一回顧録』 [書籍:『』「」付記]
話しも、外交・財政の話というよりも、そのときの個人的な思い出話というか、現場の感想、といったものが書かれている気がします。こいうのがオーラルヒストリーなんでしょうか。
そのせいか、かなりマニアックな本になってると思います。宮澤さんと聞き手の中村先生、御厨先生は知っているけど、普通の人は知らないような人、知らない事実の思い出が多く出ていて、マニアじゃない人には「ふーん・・・」「そうですか・・・」で終わりそうな気がします。
しかし、マニアには面白い本だと思います。
僕は、特に、戦後、池田勇人に仕えていた時代が面白かったです。個人的な感想ですが、宮澤さんもこのときが人生で一番楽しかったと思ってるかもしれません。紙面の都合か分かりませんが、池田、佐藤時代が終わってから急にテンポが速くなりますし。
戦後政治マニアな僕にはいい一冊でしたが、少し物足りなさを感じるとすれば、宮沢さんがどういう考え・信念の下、時代の最前線で生きてきたかというのいが表現されきっていなかったことです。当時の問題を、この立場からこんな風に処理をした、という裏話的なものを沢山ありましたが、いまいち宮澤さんの考えが表現されなかったのは残念です。
最近、後藤田元副総理も亡くなりました。現代の潮流では時代遅れとなりつつある、「保守本流」、それを全て見てきて、そして最後の人間となった、宮澤さんの考えを今こそ後世に伝えるため、残しておくべきなんじゃないかと思います。
なんて、ちょっと文句が多くなった気がしますが、聞き書になってるので、読みやすいので、難しい本を読むよりはいいんじゃないかと思います。
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