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「論座」12月号を読んで [財政再建]

 

先日初めて「論座」を買いました。今までは「文藝春秋」とか「諸君!」とかをたまに買う程度だったので新鮮な気持ちで読めました。

結構面白い雑誌だな、と思いました。中身はいろいろな評価があるのでしょうが、その構成には関心です。特集で楽天の三木谷さんのインタビューをしていたにもかかわらず、楽天に同調的ではないような論説を載せたり、民主党の前原さんのインタビューを乗せながら、後ろの小沢さんのインタビューでは前原さんに批判的な主張がなされていたり、こういうことする雑誌はなかなか無いと思います(といってもどちらも民主党なのが所謂「朝日らしさ」なのかもしれませんが)。

内容は保守系雑誌によく見られるような精神論的な主張というより実際的なものが多く、大学生、大学院生が呼んでも勉強になるようなものが多いように思います。今まで朝日は積極的に読みたいと思いませんでしたが、ちょっと考えが変わったような気がします。

その中で面白かったのは巻頭特集の「人口減少」です。その中でも井堀先生が執筆していた「財政再建の道筋と社会保障改革」に触れてみたいと思います。

小泉政権は郵政改革とかには熱心であっても、重大な問題である財政赤字・公債残高の抑制には十分に取り組んでいない。

財政赤字の重要な問題は将来世代への負担の転嫁である。現代世代の支出を公債発行でまかなうと、将来世代が負担することになり、世代間の不公平感の大きくする。社会保障において現代世代の短期的な利益を優先すると将来世代に大きくデメリットとなる。

少子高齢化により人口構成は大きく変化している。少子高齢化では財政再建化も難しくなる。現代は「賦課方式」による給付を行っているため、高齢者が増えるほど負担が増加する。04年の改革は抜本改革には程遠い。

公的給付は最低限度の基礎年金と報酬比例制度にその上の部分を積立方式を採用するべきである。そうすることで払った部分を自分で受け取ることができ、安心の年金が得られる。しかしその場合、以降時点の勤労世代はすでに現在の老年世代のために負担を行っており、自分の分の積立とで「2重の負担」を強いられる。

社会保険だけでなく医療保険を問題である。少子高齢化とともに医療費は格段に跳ね上がり、財政はますます困難になる。ここでも積立方式への移項が必要である。とはいえ現時的に実現されないなら、伸び率管理(総額にキャップをせっていすること)

個人勘定賦課方式も選択肢の一つである。報酬比例部分を親世代一般ではなく自分の親への給付に限定する。親がいなくなれば子供は保険料を免除される。この方式は比較的容易に行えるはずである。

公的な社会保障をスリム化することは、財政赤字の過度の累増を回避して、財政再建に道筋をつけるためにも有益である。

現代日本の最大の問題である社会保障と財政赤字について論じています。井堀先生授業では先生の考えを言ってくれないのでちょっとすっきりしました。

選挙でも自民党は民主党の年金改革を非現実的であり、われわれの案は現実的であると主張していたのを覚えています。しかし、社会保障・年金改革は待ったなしの状態です。「現実的」というのは聞こえはいいですが、私には彼らが本当に深刻な問題として受け止めていたようには思えません。だからこそ財政赤字もここまで放置しているのであり、年金の積立も団塊の世代が本格的に年金を需給する直前の今現在、既に足りないであろうことが確実な情勢です。

自民党も折角生まれ変わったというんだから、変わったといえるための新しいいい政策をしてほしいものです。100年安心とか、世迷言みたいなお題目を唱える前にやるべきことをやるべきです。

この論考でも述べられてましたが社会保障改革はいろんな人が利益を有しており困難なものです。僕はどちらかというと小泉政権に肯定的ではありませんが、改革を行うための潜在能力は戦後有数のものであると思いますし、その意味では期待もしています。未曾有の財政赤字状況に道筋をつける、道路特定財源も大事ですが、いつまでも外堀で戦ってないで本当の「本丸」に切り込むことが求められていると思います。

 

「論座」にはもうひとつ「戦う野党」の特集が行われていました、そのうちこれについてもなんか考えてみたいです。


道路特定財源を考える [財政再建]

ポスト郵政で話題になっているのが増税と道路でしょうか。

今回は道路について考えてみたい。

先日自民党道路調査会長に石原伸晃が決まった。これはかなり大きなことだと思う。ある意味国土交通大臣より重要なポストだ。

狙いはズバリ道路特定財源。特定財源とは文字通り使途が特定されている財源、通常の予算と切り離して、独自の採算が行われている。特定財源は我々が3月にニュースで見る予算の中には出てこない。予算の中でもブラックボックスと言われたりもする。道路特定財源は道路整備のための財源である。趣旨は。受益者負担、つまり揮発油税、自動車重量税等の税金で道路の整備を行おうとするもの。

趣旨は結構じゃないか、とも思えますし、過去の高度成長期には妥当なものとも言えたんだけど、問題があるということになってます。

まず、財政の硬直化の観点から。特定財源は特定の税収が特定の事業に必ず使われなければなりません。その事業に必要性があり、財政問題な器用な場合はいいのですが、今のように金に困っているときには特定のことにしか使えないのは問題なのでは、ということが指摘されます。

また最近公共事業を減らしたせいで、道路特定財源が余りだしてます。今は道路の債務処理などに使ってますが、試算によるともうすぐ余剰金が出てくることになります。

そうすると問題になるのが、道路特定財源の使途と暫定税率であると考えられています。特定財源でなく一般財源化する、とか、環境目的の使途にも使えるようにするとか、いろいろ出てきてます。

いずれにせよ、もともとが受益者負担のための道路特定財源、そのための諸税なので、使途を道路意外にすると、そもそも道路特定財源のための税をとることへの正当性が問題になるはずです。

また、暫定税率のもんだいもあります。先に挙げた税は道路整備の緊急性を理由に法定税率よりもかなり高い値が設定されています。そもそも租税法律主義からの冷害に当たるようなそちなのに、道路に使わないんだったら、必要ないはずなのです。一般化したり、環境に使うのだったら暫定税率を廃止するのが筋。

しかし、そもそも道路特定財源の維持を図り、暫定税率の維持を図りたい国交省、一般化しつつも財政再建のために暫定税率を維持したい財務省の意図が火花を散らせており、困難が予想される。

まぁ、暫定税率を撤廃したらあまる予定のものがあまらなくなるので当てが外れるからだと思いますが。

現在、政府・自民党で激しい戦いが行われているようで。小泉総理は道路特定財源を一般化し、暫定税率も維持する方針、自民党税調ではそれでは道路利用者の理解を得るのは不可能だと主張、また、古賀前道路調査会長などは特定財源を一般化することに反対。

そんなかでの石原道路調査会長の就任。総理の意向が働いていたといわれています。まぁ。そうなんでしょうな。

僕もバイク乗りとして関心があります。税金高いですよ。タバコの税金UPは我慢しますが、このままなし崩し的に暫定税率維持したまま一般化するのはやめてください。バイクははね、ただでさえ維持費がかかるんですよ。ガソリンは高くなってるし、バッテリー交換しなきゃいけないし、下手なところでとまったらレッカー代もかかるし、タイヤもそろそろ交換しなくちゃいけないし、整備代も馬鹿にならんし、どこかのアホが悪戯したら修理しなくてはいかんのよ。

その上、意味のわからんうちに高い税金を取られたらやっとれんですよ。官僚とか政治家はタクシーとかハイヤーでいいんでしょうが、僕の場合バイクが無いと大学に行くのに苦労する場所に住んでるわけですよ。

 

 そういえば、今日政治学の授業で言われて思い出したんですが、民主党は何やってるの?最近まったく目立ってませんが。たしか国会で特別会計の問題を取り上げて総理に詰め寄ったのは民主党でしょ。ちゃんとこの問題でまともな案をだしてくれよ。自分たちの案は通らなくても政府に自重の念と、刺激を与えてくれないと。内政のこういうところは得意なはずでしょ。

 


財政再建③財政赤字の問題点 [財政再建]

①で立てた問いにまだ答えてねぇな。レポート書かなきゃいけないんだけどな。


それはともかく今回は赤字財政の問題点を考えてみたいと思います。今回は参考資料として、

決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために

決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために

  • 作者: 矢野 康治
  • 出版社/メーカー: 東信堂
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本
 
第4章を参照させてもらってます。(プラス今日の授業)
 
赤字財政がいけないという人は多いです。最近はニュースでの報道でもよく見ます。では何がいけないのか?ここのところは僕のなんとなくいけないなぁ、と思っていただけでしたが、テレビを見ても良く分かった例がありません。
 
テレビはさておくとしても、実際何が悪いかというのは、なかなか難しいみたいですね。 
 
日本は今、未曾有の赤字財政の時代を経験してます。深刻な危機を経験したイギリス、アメリカの例と比べても、赤字の比率は突出しています(外国の例についてはそのうち調べたいですね)。が、その割には実感がわきません。本当に赤字は問題なんでしょうか?
 
何が問題か、これに対する答えを求めることは重要です。何故ならば問題をはっきりさせないと、問題解決に障害が生じた場合、あいまいな態度をとることになりかねず、断固とした措置が取れないからです。
 
では、どんな議論があるんでしょうか。
 
 まず、財政赤字はお金を右手から左手へ貸すだけ、という議論が存在します。つまり国はお金を持っている国民からお金を借りて使うのだが、使う対象は同じく国民である、そして国債を返すのは国民全体であり、ここにはお金を借りた国民も含まれている、ということです。
 しかし、国債の償還期間は長いですから利益を受ける主体と返す主体であるところの国民では世代交代が起きていることから異なる存在であることがあります。後の世代は負担だけをうける可能性があります。この問題は現在と将来の債務の承継の問題になります。
 
 また、海外から借金をしてなければよい、という主張があります。日本の国債は諸国と比しても圧倒的に国内向けの割合が大きいです。邦人が国債を持っている場合は流動化が起こりにくいとされています。逆に、外国人が多く国債を持つとどうなるかですが、一般に外国人は情報に敏感なために国債が流動化する可能性があります。また、海外から借金が行われるということは国内資金が逼迫して、金利が上昇することを意味します。しかしながら、それはまだ海外から借りてないからまし、問いいうレベルに過ぎず、最悪ではない問いう意味に過ぎないでしょう。
 
 さて、国債を償還する際に利子をつけることから、国債を買った裕福な国民をますます富ませることになり、いうなれば国民のお金を使って、裕福な国民の所得を増やしている状態であり、所得格差をますます増やすことになる、という指摘があります。 
 これは誤りです。何故ならば国債保有者は国債を買わないとしてもそのお金を運用して利益を得ているはずであり、どちらにせよ所得を増やしているからです。
 
 
まぁ、いろいろ議論がありますが、実際的な問題としては財政硬直化、世代間の公平、金利上昇があるとされています(少なくとも参照した資料を見る限り)。
 
財政の硬直化とは国債の償還のための歳出に閉める割合が増えることで、ほかの部門へ資金が回せなくなることです。そうすれば、社会保障などに使えるお金が張ります。
 
また、上でもありましたが世代間の公平も問題です。自分が利益を受けていない借金を払わされるからです。赤字国債はもとより、建設国債にあっても、それでGDPが増えたとしても支出したほどの税金が手に入るわけではありません。そして国家が作ったダムや道路は売れないために作った費用を直接回収する方法は無いのです。
 
 そしてなかでも問題が金利の上昇だと思います。現在の重要な問題です。
 国債を増やせば増やすほど国債は買ってもらえなくなるので、買ってもらうために国債の金利が上昇します。金利が上昇するということは市場で資金が不足することになるので、市場でも資金調達費用が上昇します。金利を上げないと国債を買ってもらえないということは国債の価値が下がっていると国債を保有する金融機関の経営が悪化します。加えて、国債の利率が上昇すると国債の歳出に占める割合が益々増加します。
 また金利上昇により円高が進行すると対外収支が悪化し、米国のように双子の赤字に陥るかもしれません。逆に、日本売りが始まれば、円安により輸入インフレが起こり、国民生活が大打撃を受けます。
 
 といっても現実の日本ではそんなことは起こってません。むしろ国債の累増と平行して金利低下が進んでいるという特殊な状況が発生しています。
 しかし、国債金利の上昇に伴う問題は実際に米国・英国・独国・スウェーデンで実際に起こっているのです。
 
 更にそうでなくても、問題はいよいよ深刻化してきました。今までは国債の金利が低下していために、国債は累積してもその払いが横ばいで済んだのですが、金利も限界まで低下したので、これからは年度ごとの払いも毎年増加することになります。
 
 という事らしいです。そろそろ真剣にやらんといかんということですかね。
 
 と、いってもまだまだ国民に危機感がない気がします。あるのかな?結局増税するしかない(日本は税金が諸国と比べて低すぎます、といっても増税はやだなぁ。とくに自動車・バイク税とガソリン税、今でさえ学生に易しくないって言うのに)、というような気がしますが、国民に理解を得られるかは分かりません。政府のある研究によると、今までのようなその場しのぎではなく、一度危機的な状況に陥らないと、日本では抜本的な税の改革は困難である、という報告がされています。危機になんぞなりたくないのでそれならその前にやってくれって感じですが、そうはいかんのでしょうな。難しい話です。
 
あ、こうかくと僕は増税論者みたいですが、そうじゃないですよ。増税するだろうな、という諦観はありますが。


財政再建②谷垣財務大臣語る [財政再建]

今日、大学に谷垣財務大臣がやってきました。

なんか大学の授業の一環でこういう社会の第一線で活躍している実務家を呼んで講演を頼んでいるみたいです。

といっても大物ですね、以前に前外務次官が来て講演していましたが、やはりインパクトが違います。

テーマは「財政再建」。先日消費税増税を言及していただけに注目されます。TVが来てたけど僕の後姿ぐらい映るのかなぁ。そういえば、会場から出たら週刊ポ○トの人が「増税発言」したか会場にいた人に聞きまわってました。

社会保障、三位一体、公共事業などの支出面からのお話、

消費税、所得税、地方税の税源以上などの歳入のお話、

そういったいろんな話題について網羅的にお話してもらいました。内容はまぁ、財務省が普段言ってそうなことをなぞっていたかんじです。

やはり宏池会の人です。保守本流(もう古い言葉になった気もします)らしく穏健な保守政治家という感じで、話を聞いてたらがんばってるんだなぁ、と応援したくなる人でした。いい人なんでしょうね。加藤の乱でも男泣きしてましたし。

話が終わったら中身が普通だったせいか、公演が終わった後の質問はポスト小泉に関する質問が多かったように思います。

物静かな感じの人ですが、次の総裁選は出馬するんだろうなという雰囲気が伝わってきました。

最近のニュースでも聞いた気がしますが、消費税は上げる気でしょうね。ただ、財政再建いついて、どこまでできるかは不明です。温和そうな感じがする分、希薄が伝わりにくかったことが原因だと思います。

 

谷垣大臣が前の席に行くとき僕の前1mのところまで来たのはなんとなく嬉しかったです(ちょっとミーハー)。友達が谷垣さんの選挙区でやたら応援してたせいか、感化されて個人的にはちょっと応援してます。

本人も言ってましたが小泉さんの後は温和な、融和的雰囲気が作れる人がいいのかもしれませんね(それを自分とまでは言いませんでしたが)。

 


財政再建① 公共事業とケインズ理論 [財政再建]

最近世間をにぎわす単語、「財政再建」。では一体何が問題で、何をしなくてはならないのでしょうか?

ということを、以下、何回かに分けて経済学の問題として検討を加えていきたいと思います。

一回目はまず財政再建問題において、よく槍玉に挙げられることの多い公共事業を取り上げてみたいと思います。

まず、経済学的に見た場合、公共事業とはどういうものなのでしょうか?マクロ経済政策の基本的枠組みであるケインズ経済学から説明をしてみたいと思います。

ケインズ経済学の立場からはマクロ全体の需要と供給を調整するのは価格でなく、数量である、ということになります。

財市場における総需要Aは、消費Cと投資Iと政府支出Gに合計で得られることになります。

 ① A = C + I + G

これらのうち、消費Cは国民所得Yに増加関係にある(マクロ経済学入門2章参照)。

 C = C(Y) = cY

モデルの単純化のために投資Iはある水準で外生的に一定であり、変化無きものとする。また、政府支出Gは政策的に決定される。そうすると、総需要AはCに左右される、ひいてはYの増加関数となります。

所得が一単位増加すると消費が何単位増加するを限界消費性向といい、その値 c は、0<c<1となる。したがって、所得が増加するほどには消費は増加しない。

そして、ケインズ理論では総需要の分だけ生産が行われるので、A=Yが成立する。

公共事業

では、公共事業が行われるとGDPはどう変化するのか?を考えてみたいと思います。公共事業は①の式に照らすと、G政府支出に該当します。

たとえば政府支出Gを1兆円増加させると、Gが1兆円増加します。これでまずGDPが1兆円増加します。

さらに1兆円分所得(例えば、公共事業を受けた建設業界の所得)が増加します。先ほども述べたとおり、所得が1兆円増加すると、限界消費性向cの分だけ消費が増加します。

誘発された消費cの増加は、財市場では需要の更なる増加となります。結果、所得がc増加します。

そして、追加的に増加された所得c兆円に対して、再び限界消費性向cを掛け合わせたc(2乗)の大きさだけさらに消費が増加します。

こうして消費の拡大が所得を増加させ、さらに消費を拡大していく累積的な総需要拡大の合計を乗数効果といいます。

この等比数列の和を求めると、

 1/(1-c) 、となります。すなわち外生的に政府支出が1単位増加するとGDPは1/(1-c)分増加します。cを限界消費性向というのと反対に(1-c)を限界貯蓄性向といいます。さきのことは、限界貯蓄性向の逆数値だけ増加する、ともいえます。0<c<1より、政府支出1の増加に対してGDPは1より大きく上昇することになります。

減税

では、減税の効果は公共事業と比べてどうか?

1兆円減税すると、その分可処分所得が1兆円増えます。すると、限界消費性向cの分だけ、c兆円消費が増えます。

これはすなわちc兆円政府支出が行われたのと同じ効果があります。すると当然1兆円の政府支出のときより、効果はc/1になるので、減税乗数は

c/(1-c) 、となります。つまり、同じ1兆円なのに、効果は政府支出を増加させるほうが高くなります(c<1より)。

予算制約

なお、これまでの考察は財源の問題は考えてこなかった。すなわち、政府支出の増加、減税の補填は公債発行でまかなっていた。

均衡予算の制約のもとでは政府支出する分、その分増税することになる。

先にやったとおり、政府支出の乗数効果は、限界貯蓄性向の逆数、1/(1-c)でした。一方、増税の効果は現在のちょうど逆なので、-c/(1-c)、となる。したがって、

1/(1-c) - c/(1-c) = 1

言い換えると、均衡予算の制約では政府支出を増加させる乗数は消費性向と独立に 1 、となる。均衡予算乗数。

 

このようにみると、公共事業は効果が高い、ということのように見えます。現在するよりも高い効果もありますし、その分増税しても効果があります。

よく、「無駄な公共事業はよくない」という主張を聞きますが、上の式には効率性という要素は出てこないのです。つまり無駄だろうと、無駄でなかろうと、公共事業には上で見たような効果があります。行ってしまえば、「穴を掘って、穴を埋める」ということでもよいように思われます。

では、公共事業は今問題になっているのでしょう?

次回へ続く。


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