『外交官の仕事』 [書籍:『』「」付記]
日ごろ国際関係には興味を持っているつもりですが、実際に外交官がどのようなことを考えて行動しているのかはよくわかっていないような気がする。
そこで実際の外交官であった人の本を呼んでみることにしました。
2005年10月と最近書かれた本ということで選らんのがこの本です。
内容は大きく分けて10章に分かれて書かれています。
1.大使館の仕事
2.外交官の作られ方
3.本章で働く外交官
4.情報収集
5.ODA
6.文化
7.人事
8.政策決定過程
9.広報
10.日本の戦略論
とまぁ、こんな感じです。
結構ためになりました。普段テレビで見ているだけだったり、また国際関係を勉強をしていても、忘却しがちなのが「実際に実現できるの?」「どうやって行うの」という視点。本書はそうした視点を読み手に与える契機になるのではないかと思います。
国際関係を勉強している人には「具体案」なるものを出す人がいます。かく言う僕もそんな一人でしょう。しかし、それでもまだ抽象的なのだな、ということがよくわかります。
本書の作者は元外交官ということで、自らある政策を行ったときどのようなことを行ってきたのかがかかれています。
「・・・すべきである」というものはあるかもしれません。しかし、実際の手足となる外交官の一人ひとりがどのように動けばそれが達成できるのか。現実的に可能な政策を考えるとき、本書のような視点は必要なのだと思います。
本書で書かれている外交官像は「アヒルの水かき」をしている外交官、といったところでしょうか。例えば「情報収集」というの言葉はかっこいいですが、では実際に情報を収集するのは、かなり地道な作業であることがわかると思います。ひとつの情報を得るのだって、言うのは簡単ですが、具体的には大変なんだなということがわかります。
本書が国際政治の一般的な本のように、安全保障、経済、PKO・・・といった政策で章立てされておらず、外交官そのもの、そして彼が持っている手段に着目した分け方をしているのも、実務として外交を意識して書かれているからであると思います。
「人」としての外交官、世間では外交官に対して一方的に過ぎる批判が多いように思いますが(的を得ていないものが無い、というわけではないですが・・・)、もう少し落ち着いて物事を見てほしいように思います。
と、ここまで書いて批判めいたもの、というか若干の留意点を。
僕は結構理想主義的なところもあるせいか、現実から論ずる議論には納得しても、どこかで抵抗する部分があります。そういう議論をする人に対して心のどこかで、「単に現実に追随しているだけではないのか」と思ってします。単にひねくれているだけかもしれません。
おそらく本書はそうした現時追随本ではないと思います。現実はこうしうたものだ、ということを示して、その上で物事を考えるべきであるということを考えて行動するべきである、ということを主張していると思いますが、どこかでひねくれている自分がいます。
それでいいんだよ、と思っています。本を読むときにはこうした批判的視点は必要なのだと思いますが、どうなのかなー、と考える日々です。
外交官志望の人、国際関係を勉強している人、だけではなく、多くの人に読んでほしいように思う本です。具体的なエピソードを交えながら読みやすい書き方がされています。読みやすいのは筆者が昔小説を書いたことがあるからだと思います。
すごいと思った?
by 石川 (2007-06-08 14:33)