死刑に関して考える [国際法・国際関係]
凶悪事件続く今日この頃。
凶悪事件が起こるとマスコミが被害者の家族にコメントを求め、家族の方が「犯人を死刑にしてほしい」というのを聞きます。毎年一回は聞いていいるような気がしますし、あまりに同じようなせりふが多いので、マスコミが言わしてるんじゃないのかとおもってしまうくらいです。(そんなことないと思いますけど)
今日はそんなことで死刑について考えてみました。って先生に課題を出されたからに過ぎませんが。
この問題はいろいろな議論が錯綜して混在してるのでその点は気をつける必要があります。
このごろの犯罪の凶悪化の影響か、日本では死刑肯定派が多いように思います。分からなくはありませんが、どうも世界の潮流と異なります。
自由権規約や欧州人権条約では死刑は直接に禁止されていません。が、近年においては死刑灰条約ができて加盟国がますます増えるという状況にあります。韓国も死刑廃止法案を提出したりしています。
ところが翻ってわが国を見るとむしろ死刑を望む声が昔に比べて多いように思います。死刑廃止を行っていない主要先進国は米国と日本くらいのものです。日本はそういった意味で国際的な潮流に遅れているといえます。
ここから死刑を廃止するべきであるという意見が出てきます。死刑を行っていては日本は孤立してしまう、と。
僕はこういった意見は賛成しかねます。国際政治・外交から見たときに死刑の問題はそれで国が孤立するとか、そういう根本的な問題ではありません。ちょっと人権条約関係のものに入らなかったからといって日本が孤立するとかいうのはやめてほしいです。これに関連した議論としては死刑を廃止しないのは野蛮だという議論がありますが、大きなお世話という感じです。こういう議論はヨーロッパスンダードを見ているだけです。国家はそれぞれ文化的な背景を持っているので死刑に対する考えが異なると思います。日本には因果応報の考えが結構あるのではないでしょうか。このことが死刑を認める風潮が多い理由のひとつではないでしょうか。
といっても、国際的風潮を考慮しなくてもよい、わが道を行くでよい、ということではありません。そのあたりは難しいところです。このまま行ったらそのうち死刑廃止は本当にスタンダードになるでしょう。そうなるとやはりそれは気にしないといけないでしょうから、今のうちからそういう事態を考えながら死刑廃止問題を考えておく必要があるでしょう。
さて、国内というか、国際以外の視点について。(こういった問題を国民に呼びかけるのに国際条約を使うのもありでしょうね)
まず確認するべきは、最近死刑支持者が多いですが、死刑とは国民を喜ばせるために行うのではありません。世論は気にする必要がないとはいいませんが、そもそも死刑を強く賛成している人は実は多くなく、なんとなく死刑を支持しているに過ぎない人のが多いと思います。たとえばフランスは死刑賛成派のが多いまま死刑廃止を行いましたが、現在では普通に受け入れられています。
そこで死刑を何のためにするのかが問題になります。倫理の問題としてどうでしょう?これはおそらくいろいろな意見が出るでしょうが決着はつける事のできない問題だと思います。僕は一方で人間の尊厳を尊重しますが、もう一方で、因果応報のようなものも支持します。人を殺したもの(多くの人々を)までも我々は裁いてはいけないのでしょうか?
ならば、政策の問題としてはどうでしょう。政策の問題も各国によって若干異なってきます。途上国にも死刑廃止を行う国もいますが、これは死刑が政治抗争道具に使われていることがあるので、それを国際的な約束を通じることでやめようとするという意味もあるらしいです。
日本では犯罪抑止と冤罪の問題だと思います。
死刑を残すことによる抑止効果はあるのでしょうか?現在の刑罰は犯罪の強化もあり社会復帰よりも抑止のための刑法が望まれています。しかし、治安が良くなった形跡はありません。そもそも死刑である必要があるのでしょうか?終身刑でも良いように思います。
冤罪は問題です。日本では死刑判決が出た者でも再審請求により無罪になった者がいるらしいです。僕はこれはいけないと思います。この観点からの死刑廃止論は一考に値するものがあると思います。死刑執行を犯罪を行ったのが明らかな人間に限るということも考えることができますが、そもそも有罪判決とは犯罪が明らかな人間に与えるものなので意味のない議論なのかもしれません。しかしだとすれば日本における再審請求の多さは裁判官の判断そのものにも問題があるのかもしれません。裁判官も万能ではないことも考えれば死刑は廃止したほうが良いのかもしれません。
ただ、死刑を廃止した場合、代替刑としての終身刑、ないし超長期の懲役・禁固が必要になるでしょう。今ではそうでも無い様になってきていると聞きますが、無期刑になっても模範囚なら20年くらいで出てこれるというのであれば、死刑と無期刑との落差があるのも問題のようにも思えます。世論の問題については終身刑などで代替刑にすればそれはそれで認められるのだと思います。
いずれにせよ、今の風潮はムードだけで死刑を賛成し、真剣な議論が行われていないように思います。もしそうだとすれば、ムードだけの議論は避けるべきでしょう。
…と、議論を整理していきたいというようなことを行っていたのに、あまり整理し切れなかったなぁ。やはりよくわからん。ただ、結論はともかく、ムードに流されないでね、ということだけはいいたい。
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