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マクロ経済学入門 第5章 [マクロ経済学を学ぼう]


第5章 貨幣の需要と供給

1.貨幣の機能
・価値尺度機能
・交換手段
・価値の保蔵手段 安全資産として人々の資産選択に重要な役割

2.貨幣の概念 何を貨幣というのか?
・現金通貨のみ貨幣とする立場
・現金通貨のみでなく、比較的流動性の強い預金通貨も含める:M1(貨幣の交換機能を重視)
・現金通貨・普通預金に加えて、定期性預金などの準通貨を含める(価値の保蔵機能を重視)

今日一般的な貨幣の定義は、
 貨幣供給量(マネーサプライ)=現金通貨+預金通貨

但し、最近の金融自由化はかつては流動性が低かった定期性預金等の流動性をも高めている。

3.貨幣需要の動機
・取引動機
・予備的な貨幣保有 不測の事態に備える
・資産選択手段 危険資産の収益に伴う不確実性が高まるにつれて大きくなる一方、他の資産の平均収益率が高まると下がる。

4.貨幣需要関数
・ケインズの貨幣需要関数:貨幣需要Lは国民所得Yが増えると増加し、利子率iが上がると減少する
 L = L(Y,i)
・貨幣数量説:貨幣需要は国民所得Yにのみ依存し、利子率に依存しない。
 EX:フィッシャーの交換方程式
    MV = PT
→この場合、Mは一定期間における貨幣流通量、Tは経済全体の実質取引量、Pは一般物価水準を表し、Vは貨幣の流通速度といわれるものになる。そして、MVは一定期間を通じてどれだけ貨幣を用いた取引が行われたかを表し、フィッシャーの交換方程式はMVが経済全体の名目取引量に等しくなること主張する
 →そしてVは短期的に一定である。そしてTがMと独立に動くとすればPはMと同一の割合で動くことになる。「貨幣は物価水準のみを決定する(古典派の二分法)」

・ケンブリッジ方程式:フィッシャー交換方程式の名目取引総額PTは名目国民所得PYとかなり安定した関係をもつと考える。PTをPYと置き換えると、PY=MV、となる。
 流通速度Vの逆数1/Vをkとしたとき、MがPYに比例する関係として、
 M = kPY という式を導ける…ケンブリッジ方程式
 このときのkをマーシャルのkという。

5.貨幣需要関数の安定性
・貨幣経済の安定性 国民所得や利子率が変化しても貨幣需要の変化率は時間を通じて変化しないと考えられてきた。政府が貨幣を需要に合うだけ供給することが重要であり、そのためには貨幣需要が安定しないないと適切な貨幣供給の等が適切に行えなくなり困る。

・1970s半ば以降、アメリカの貨幣需要が不安定に。実際の貨幣量に比べて予測された貨幣供給の値が常に高くなる。予測された貨幣が失われる・・・貨幣紛失
・日本でも1970s後半から同様の事態に。
 ←これらの出来事は、金融自由化・技術革新のために従来流動性が高くなかった定期性預金も流動性が高まったり、様々な金融商品ができたことによる。(貨幣が大きく変化)

6.ハイパワード・マネー
・ハイパワード・マネー(マネタリー・ベース、ベース・マネー)
 ハイパワード・マネー(H)=現金通貨(C)+銀行の預金準備(R)、と定義される。
・そこで貨幣供給量との関係を見ると、
  M = C+D   (C/D)+1  
  H    C+R   (C/D)+(R/D)
という関係が表れる。即ち、HとMの関係は民間の現金・預金保有比率(C/D)と銀行の預金準備率(R/D)に依存する。通常、現金・預金保有比率(C/D)と銀行の預金準備率(R/D)は制度的要因により決まっているので、あまり変化がない。従って、MはHに一定の貨幣乗数mを掛け合わせることによって、
  M = mH と表すことができる。
   ←日銀はHや(R/D)を変化させることによりMを変化させることができる。

7.貨幣供給量のコントロール法
・公定歩合政策
・公開市場操作
・法定準備操作

8.利子率決定理論
・貨幣需要は利子率が上昇すれば減少し、国民所得が増えれば同じく増える。
 →国民所得を一定とすると、利子率と貨幣量に負の相関関係
・貨幣供給は日銀によって利子率と独立にコントロールできる。
 →物価の影響を取り除いた実質貨幣供給量をM/Pとると、Pが一定の場合M/Pは利子率と独立に決定される。
・貨幣需要と貨幣供給は一致している必要があるから、貨幣需要関数L=貨幣供給量M/P、となる。そしてその交点、一致点に利子率は決定される。
・日銀は家計供給量をコントロールすることにより同時に利子率もコントロールできる。

・しかし、このような前提も貨幣需要関数が不安定であるような場合、日銀も十分なコントロールが出来ず、利子率が不安定になってしまう。
・短期的には貨幣需要関数は不安定であり、日銀も短期的には利子率の安定を重視している。しかし、長期的には貨幣需要関数は比較的安定しているから貨幣供給量のコントロールはいまだ需要である。


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