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マクロ経済学入門 第3章 [マクロ経済学を学ぼう]

やっと4分の1か、まだまだ遠いな。

第3章 設備投資と在庫投資

1.企業の設備投資
・ある時点において企業が保有する建物や機械・設備は資本ストックと呼ばれる。そして、t期において企業が所有する資本ストックの量をKtとすると、t期の企業の投資(It)は、
 It=Kt - Kt-1
・ただし、資本ストックとは、時間がたてば磨耗・陳腐化するので、企業はこれに対応する資本減耗と呼ばれる部分を補う必要がある。そこで、先の式に資本減耗分(dKt-1:dは資本減耗率)を加えて、
 It=Kt - Kt-1 + dKt-1
  =Kt - (1 - d)Kt-1
粗投資…資本減耗分を加えた投資
純投資…資本ストックの単なる増加分、Kt - Kt-1と同じ

・日本の場合、GDPの割合を見ると、民間最終消費支出(約60%)の次に、資本ストックを意味する総固定資本形成が大きな割合を占める(約30%)。其の内、約70%が民間によるものであり、家計における住宅投資と、企業の生産のために行われる設備投資に分けられる。このうち、設備投資が大きな割合を占める。
・民間投資が年によって大きな変化を起こさない一方、設備投資の上下の変動は大きい。従って、設備投資は消費以上にGDPの変化にとって重要である。

2.投資の決定要因
・フロー…ある期間内に行われた経済活動の成果
・ストック…ある特定の時点ですでに達成されている経済活動の成果
・新古典派の投資理論…企業の利潤最大化行動によって投資が決定されるとする。まず、望ましい資本ストックの形成が資本ストックを増加させた場合の収入と費用のどちらが大きいによって決定される。次に、望ましいストックに等しくなるように設備投資が決定される。

3.資本の限界生産性
・資本の限界生産性…資本ストックを追加的に一単位増加させることによって生産量がどれだけ増加するかを表す指標。一般に、設備投資によって生産量が増える可能性は、資本ストックの投入量が小さい場合は大きいが、すでに生産に多くの資本ストックを投入してる場合は相対的に小さくなる。
 →資本の限界生産性の逓減(徐々に減るという意)

4.資本の使用者費用
・資本の使用者費用(レンタルコスト)…資本ストックを一単位使用するのに必要な費用
  レンタルでなくて企業がストックを自ら有している場合も必要。
  資本減耗の費用と利子の費用の2つが考えられる。
・資本減耗の費用…使用している資本ストックが陳腐化し、実質価値が下落することの費用。資本減耗率が大きければ大きいほど、企業の資本の使用者費用は大きいことになる。
・利子の費用…資本ストックを新たに購入する際に必要な資金に対して支払われる利子の費用。仮に自ら保有の資金を使って資本ストックを購入していたとしてもかかる。/

5.望ましい資本ストック
・資本の限界生産性>資本の使用者費用のとき、資本を一単位増加させることによる収入の増加分は、費用の増加分を上回っている。この場合、企業は資本の限界生産性=資本の使用者費用となるまで投資を行うことにより、利潤が最大化される。このときの資本ストックの水準を望ましい資本ストックと呼ぶことになる。
・ここで、利子率が上昇すると、望ましい資本ストックが減少、反比例の関係になる。
・一方、需要の増加、技術向上などにより、資本の限界生産性が上昇した場合、望ましい資本ストックは上昇、正比例の関係になる

6.新古典派の投資理論
・望ましい資本ストックの水準をKtとすると、t期における純投資・粗投資は各々、
 It=Kt - Kt-1
 It=Kt - (1 - d)Kt-1  、として決定される。
・即ち、新古典派によれば現存の資本ストックが望ましい資本ストックの水準を上回る場合、その差額をちょうど補うように純投資が行われる。

7.ジョルゲンソンの投資理論
・現実の投資では、新古典派のいうとおり、企業は瞬時に望ましい資本ストックの水準に一致させることはできないのではないか?
・ジョルゲンソンによると、Kt - Kt-1のがすべて投資される分けではなく、時間やコストの問題から、其の内一部だけが今期のうちに実現されると考えられる。λを投資の調整速度とした場合、
 It=λ(Kt - Kt-1)
 It=λ(Kt - (1 - d)Kt-1)
・この理論について、λは望ましい資本ストックを考慮する際に考慮されるべきものではないか、という矛盾を抱える。

8.調整費用モデル
・調整費用モデル…望ましい資本ストックへの調整スピードが速ければ速いほど、多くの調整費用がかかる、と考える。資本ストックを急激に高める経営能力の向上などそれに見合った努力を行う必要がある。
 →ペンローズ効果、調整費用は投資水準が高まるにつれて、逓増的に増加する。
・企業は望ましい資本ストックを達成するスピードを高めることによる現在から将来にかけての収入増が、それに伴う現在から将来にかけての調整費用の増加にちょうど等しくなるところで投資の決定を行う。
・このように決定される投資理論においては、新古典派と異なり、現在の資本の限界生産性や資本の使用者費用だけでなく、将来のものにまで依存するものとなる。

9.在庫投資
・在庫投資…期間中に販売されなかった製品は、新たな在庫として積み増される。製品在庫、仕掛け品在庫、原材料在庫がある。
・在庫投資…「ある期間中に生産された泡付加価値(生産量)のうち、最終的な利用者に販売されたあら付加価値(販売量)を除いたもの」
 在庫投資=生産量-販売量
・在庫投資は設備投資における割合は小さいが、設備投資よりも大きく変動するので、景気循環の分析において重要な役割を果たす。


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